ラッパー同士が即興で相手をディスり、「俺のほうがスゲーんだよ」と自己顕示欲を丸出しにするフリースタイルラップバトル。観衆はそれを観戦しながら、両者を煽り立て、会場を盛り上げていきます。
その手法を取った観光PR動画を作ったのが青森県。バトルするのは、滑舌の悪さをウリにする関西芸人と津軽弁と南部弁で対抗する青森県人です。関西芸人が「大阪のほうがスゲー」と青森をディスります。それに対して、青森県人が「青森もスゲー」と、名所旧跡や郷土食をアピールしていきます。動画のタイトルは「ディス(り)カバリー青森」。
青森県人のクセの強い方言は超難解。そこに、滑舌の悪い関西弁を相手に選んだことで、異次元の言葉バトルが誕生しました。青森県人のリリックは字幕なしには理解不能。ただ、中毒性の強いラップは、視聴者をぐいぐいと両者のバトルに引き込んでいきます。
動画の最後には青森県知事も「つづ(知事)です」と登場。観光誘致に体を張ってます。
それにしても、「方言っていいなあ」と改めて思います。ある土地を旅した時、その土地の風土を一番感じるのは、実は風景でも食でもなく、その土地のパロール(話し言葉)。普段の生活では聞こえてこないアクセントを耳にすると、旅をしていると強く思います。フランスでフランス語を耳にすると強くフランスにいることを意識するように。