フィリピン政府は、同国中部のビーチリゾート「ボラカイ島」を最大6ヵ月にわたり閉鎖すると発表した。多量のごみや汚水が海に排出され、海洋汚染が進んだことを受けた措置。このほどAP通信が報じた。
観光省のフレデリック・アレグレ次官によれば、ボラカイ島にはもともと3万人程度の住民のみが居住していたが、現在は常時5万人の住民と約2万人の観光客が滞在。2017年は200万人以上の旅行者が美しい砂浜や楽しいナイトライフを楽しむための同島を訪問し、観光収入は約560億ペソ(約1160億円)に至った。また、雇用者は約1万7000人に雇用されているという。
しかし、下水処理を含む生活インフラやリゾート施設が完備されていないために、排出された汚水が海洋を汚染。数百名におよぶ移住者が島の森林や保護湿地帯で不法に住宅や建物を建築。これらを放置し続けてきたことで「死んだ島」(アレグレ次官)になってしまったという。
この状況を受け、フィリピン政府は島の一時閉鎖を決定。6ヵ月以内にアクラン地区に1000ヘクタール規模の汚水処理場を整備する方針とした。併せて政府は、島の一時閉鎖で影響を受ける観光施設の労働者を支援するために、緊急災害資金を支給。フィリピン航空も、この小さな島への玄関口となる空港への運航数を減らすことで同意しているという。
なお、同様の決定は、タイ・マヤ湾のピピレイ島でも下されている。また、シミラン諸島のタチャイ島(Koh Tachai)やピピ諸島のヨーン島(Koh Yoong)では、2016年半ば以降、観光客の立ち入りが一切禁止されている。