アクセンチュアはこのほど、業界ごとに「創造的破壊(ディスラプト)」の発生状況を表現する指標「ディスラプタビリティ・インデックス」を開発した。財務実績や業務効率性、イノベーションへの取り組み、創造的破壊者となる企業のプレゼンスなどの視点を考慮して作られたもの。インデックスの結果は4段階で示される。
今回の発表では、この指標を使って98の業種を20種類に分けて創造的破壊の度合いをプロット。最も創造的破壊度合いが高い「発展期」にあるのはソフトウェア&プラットフォーム業界。一方で旅行業界は、「混乱期」と「不安定期」の境界に位置している。
各段階の説明と該当する業界は以下のとおり。
長期安定期(Durability): 創造的破壊が起き始めているが危機的状態ではない。伝統的な企業は継続的に構造的な恩恵を享受して安定した業績を維持している/自動車販売、アルコール飲料、総合化学品の業界を含む19%の企業が該当
不安定期(Vulnerability): 現時点では創造的破壊の進行はゆるやか。しかし、人件費高騰などの構造的な課題があり、伝統的な企業は将来的に破壊の影響を受けやすい/保険、ヘルスケア、コンビニエンスストアの業界を含む19%の企業が該当
混乱期(Volatility): 環境の変化が激しいため、従来の強みが弱みに変化しつつある状態/消費者向けテクノロジー、多角経営の銀行、広告、運輸サービスの業界を含む25%の企業が該当
発展期(Viability): 新たな創造的破壊者が続々と出現し、破壊が頻発している状態。多くの場合、競争優位性は短期間しか持続しない/ソフトウエアプロバイダー、プラットフォームプロバイダー、通信、メディア、ハイテク、自動車製造の業界を含む37%の企業が該当
アクセンチュアでは、企業が創造的破壊の波を乗り越えて成功するためには、デジタル活用が重要だと説明。業界を通じて、新サービスの開発やコスト削減、既存製品の価値向上など様々な分野でデジタル活用度合いを高めることで、創造的破壊の時代を生き抜くことができるとしている。
なお、アクセンチュアでは今回の指標開発に際し、世界82カ国で年商1億ドル(約107億円)以上の企業3629社(日本企業は367社)を対象に調査をおこない、「現在直面している創造的破壊の度合い」と「将来的な創造的破壊がもたらす影響力」を分析した。それによると、「すでに大規模な創造的破壊に直面している」と回答した企業は63%、「創造的破壊の兆候を強く感じている」との回答は44%だったという。