JTBグループの2017年度の連結決算は、売上高が前年比2.0%増の1兆3230億円、営業利益が49.5%減の51億円、経常利益が27.7%減の94億円、当期純利益は80.1%減の10億円で、増収減益となった。
大幅な減益の理由は、経営改革と成長戦略に向けた約80億円の積極的投資。内訳は、第3の創業と位置付ける今年度からの新経営体制の移行に向けた改革で約50億円、グローバル事業を中心とするM&Aを中心とした成長戦略で約30億円。代表取締役社長の髙橋広行氏は、「意思を持って先行投資を実行した結果」と、その意義を強調した。特に今期の増収分のほとんどは、海外M&A(257億円)によるものだという。
セグメント別では、個人事業は売上高が0.5%減の6614億円、営業利益が70.2%増の80億円で減収増益。国内旅行は台風や大雪などの自然災害や天候不順の影響もあり減収となったが、海外旅行は主力の欧州の回復基調とハワイの堅調な推移で増収となり、増益に繋がった。
法人事業は売上高が1.1%減の4153億円、営業利益が2.9%減の134億円で、ほぼ横ばい。国際情勢の不安定要素とリオ五輪の反動があったが、国内企業の好況による業務渡航やインセンティブなどの需要を着実にとらえた。
グローバル事業は、新規M&Aで売上高が22.5%増の1695億円となるも、積極的投資で減益。営業利益は40億円の損失となった。
旅行部門(国内旅行、海外旅行、訪日旅行、グローバル旅行)の結果は最下段に記載。
JTBグループでは今後も積極的な投資を継続し、2018年度はさらに増収増益を見込む。売上高は前期比2.0%増の1兆3500億円、営業利益は75.3%増の90億円、経常利益は6.6%増の100億円、当期純利益は389.0%増の51億円の見通しだ。
2022年度までの5年間で約1000億円の投資枠を想定しているといい、その使途は(1)M&Aを含む成長領域や新規事業開発、(2)デジタル変革、(3)人材強化を中心に実施。2018年度の投資額については「投資は都度、検討するが、単純計算では1年あたり約200億円」と述べるにとどめた。売上高に対し、投資額が2017年度以上に拡大させるにも関わらず、大幅な増益を見込む理由については、「経営改革は初年度に結果が出にくいが、それでもかなりの間接コストの削減や業務効率化が見込める」と説明。「20018年度は、過去の水準からみても最低限の利益確保で投資を優先する」と自信を示した。
旅行部門別の結果
国内旅行
- 売上高:5751億円(0.7%減)
- トピックス
- 自社ツアー企画・エースJTBの売上高1.4%減、法人営業は0.1%増
海外旅行
- 売上高:4627億円(0.1%増)
- トピックス
- 個人旅行で回復した欧州の売上高15.4%増が増収に寄与
訪日旅行
- 売上高:679億円(5.0%減)
- トピックス
- 急激な個人旅行(FIT)化とウェブ化で個人旅行が好調
- 取扱人数は過去最高の409万人を記録
- 着地型商品のサンライズツアーは、取扱人数が12.5%増。発着地ラインナップと間際対応を強化
- ウェブサイトJAPANiCANは取扱人員が39.4%増。サイトリニューアルとキャンペーンが奏功
- 法人はG7伊勢志摩サミットやアジア冬季大会の反動で減収
- 売上高は減収も、売上総利益ベースでは増加
グローバル旅行
- 売上高:823億円(50.3%増)
- トピックス
- 売上高のうち、うち、175億円がM&Aによる増収分
- アウトバウンド事業では、インドネシアでPTパノラマ・ツアーズ・インドネシア社と資本・業務提携
- インバウンド事業では、ハワイのMICE大手MC&A社をと欧州大手クオニイGTS社をグループ化