総務省はこのほど、日本版DMOなどを対象に、設立段階の認識や取り組み状況を調査した。訪日外国人旅行者の受け入れに関する調査の一環としておこなったもの。
ここでは、(1)目指すべき地域の将来像の設定、(2)行政機関からの権限・責任の付与の在り方、(3)運営にあたっての地域住民の理解を得る取り組み、(4)ほかの観光関連団体等との連携・役割分担、の4つの側面にフォーカスし、取り組み状況の実態や全体傾向をまとめている。
将来像の設定
まず、日本版DMO候補法人の登録までに、「目指すべき地域の将来像(ビジョン、理念など)」を設定した団体は、全体の91.2%。そのうち法人が自ら設定したケースが66.5%を占めた。※質問対象:広域連携DMO、都道府県DMO、複数市町村DMO、市区町村DMO
また、候補法人登録までに、事業区域内でそれまでおこなわれてきた観光施策の取り組みを総括・評価した割合は77.4%。そのうち法人自らがおこなったケースは53.6%となった。※質問対象:都道府県DMO、複数市町村DMO、市区町村DMO)
権限・責任の付与
行政機関からの権限・責任の付与については、不十分であったために事業の実施に支障をきたしたことが「ある」との回答は、全体の17.9%。「ない」が67.9%、「わからない」が14.3%。少数派ではあるが、約2割が事業への支障を経験したことがわかった。※質問対象:広域連携DMO、都道府県DMO
地域住民の理解
一方、外国人旅行者の受け入れに関する地域住民の理解を得る取り組みについては、「おこなっていないが今後おこなう予定」(53.8%)が5割以上を占め、「おこなっている」(42.3%)割合を超えた。
住民満足度の把握状況では、「把握していないが、今後把握する予定」(62.3%)が多数を占め、「把握している」は22.3%にとどまる結果に。特に市区町村DMOでは約7割が「把握していない」ことが判明した。※質問対象:複数市町村DMO、市区町村DMO
外国人に向けたウェブ経由の観光情報発信などについて、事業区域内の観光団体との合意形成を「おおむね図った」DMO法人は全体の48.1%。「一部の団体と(合意形成を)図っている」のは22.8%、「図っていないが、今後図る予定」は27.2%となった。DMOの種類別では、広域連携・都道府県DMOでは53.6%、複数市町村DMOでは52.0%と、いずれも過半数が「おおむね図っている」に該当した。※質問対象:広域連携DMO、都道府県DMO、複数市町村DMO、市区町村DMO
ほかの観光関連団体等との連携・役割分担
また、事業区域が異なるほかのDMO法人との役割分担についての認識は、「必要がある」との回答が78.5%で最多。ただし、実際の役割分担については、「おおむね明確である」(28.5%)、「一部明確であるが、明確でない場合もある」(27.2%)、「明確でない」(25.3%)との結果に。特に、複数市町村DMOでは「明確でない」との回答が34.0%となり、ほかのDMOと比べて多い傾向を示した。※質問対象:広域連携DMO、都道府県DMO、複数市町村DMO、市区町村DMO
この調査は、日本版DMOなど174法人を対象にしたもの。調査期間は2017年12月19日から2018年1月22日まで。