UNWTO(国連世界観光機関)が発表した最新の海外旅行統計によると、2017年の海外旅行者数(到着ベースで集計)は前年比7%増の13億2300万人。伸び率は2010年以降で最大幅となり、8年連続のプラス成長となった。UNWTOによると、2018年の動向も好調で、1~4月実績では前年比6%増のペースで推移している。
受け入れ地域別では、テロ事件の打撃を受けていた欧州(前年比8%増)やアフリカ(9%)への旅客数が復活。一方、中国、米国、ドイツなど、主要な送客市場が安定した伸びを示したほか、ブラジルやロシアなど、停滞気味だった新興市場が再び成長に転じたことが奏功した。
観光産業による輸出額は同5%増の1兆6000億ドル(約176兆円)。業種別では第3位の規模となった。
目的地のベスト3は、海外からの訪問客数では1位がフランス(5.1%増の8690万人)、次いでスペイン(8.6%増の8180万人)、米国(3.8%減の7590万人)。一方、海外客による支出額では、訪問客数でマイナス推移を示した米国が1.9%増の2107億ドル(約23兆1700億円)となり1位に。次いでスペイン(10.1%増の680億ドル)、フランス(13.1%増の607億ドル)の順となった。
2つのランキングを比較すると、トップ10か国中7か国は同じ顔ぶれだが、旅行形態や滞在日数、消費動向により、一部は異なる国がランクイン。日本は6年連続でインバウンド旅行者数の伸びが2ケタ成長となり、観光収入では世界トップ10にランクインしたものの、旅行者数ではベスト10圏外だった。
そのほか、算出方式の変更に伴い、2016年は観光収入で世界5位だった中国が2017年は12位に低下。アジアで最も人気のデスティネーションはタイで、訪問客数では世界10位、観光収入では4位。訪問客数の伸び率が上位10か国中、最も大きかったのはトルコで前年比24.1%増。同様に観光収入ではマカオで同17.6%増だった。
またUNWTOのレポートによると、「海外旅行」先の内訳は、5人中4人と大多数が自身の居住国と同じ地域内を選択している。地域別に送客市場を見ると、欧州がほぼ半分(48%)と最大シェアを占めてはいるが、アジア太平洋地域が急速に拡大している(25%)。
海外旅行での消費額は、中国人旅行者が圧倒的1位の座を堅持し、前年比4.7%増の2577億ドル。世界全体の5分の1を占めた。第2位は米国、次いでドイツ。ただし最大の伸び率を示したのは、ここ数年伸び悩んでいたロシアで前年比29.7%増。トップ10位の中では、韓国も12.3%増となり、力強い成長を示した。