京都嵐山「オーバーツーリズム」対策の実証事業、混み具合の表示で分散化の結果に、訪問時間・場所の変更も顕著

京都市は、2018年紅葉時期の嵐山地域で実施した観光需要分散化の実証事業の結果をまとめた。この実証事業は日本で初めてWi-Fiアクセスデータを活用して観光需要を予測し、快適に観光できる時間帯への訪問や周辺エリアへの回遊を促すもので、2018年11月10日から12月17日に行われた。

実証事業では、嵐山の13ヶ所にスマートフォンなどのWi-Fiアクセスを感知するセンサーを設置し、これらのアクセス状況から観光客の入込状況を把握したほか、各エリアでアンケート調査を実施することで各エリアの観光快適度を設定。そのうえで、各地の入込状況のトレンドから将来の入込状況を予測し、ウェブサイト「嵐山快適観光ナビ」として観光客に情報提供を行った。

実証期間中、観光快適度を表示した「嵐山快適観光ナビ」を見た人の約5割が混雑している時間をずらして訪問。実際に、観光客が集中しやすいエリア(竹林の小径エリア)では、観光客数のピーク時における減少と早朝・夕方の時間帯における増加が見られた。

また、アンケート調査では、「嵐山快適観光ナビ」利用者のうち47%が「混雑している時間をずらして訪問しようと考えた」と回答し、10%が「空いている場所を訪問しようと考えた」と応えた。「嵐山快適観光ナビ」の利用者のうち約40%がこのサイトをきっかけに奥嵯峨、嵯峨野、松尾、上桂などの周辺エリアを訪問。京都市によると、観光快適度とおすすめ観光ルートの情報を併せて提供したことで、各エリアへの訪問意欲を高め、行先変更を促される傾向が見られた。

嵐山快適観光ナビの情報が観光予定に与えた影響 (報道資料より)嵐山快適観光ナビをみて訪問先を決めた観光客の割合(報道資料より)

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