四国経済連合会はこのほど、「お遍路さん」の受け入れ態勢に関する現状と課題などをとりまとめた。そのなかで、日本人の遍路人数が減少する一方で、外国人の「歩き遍路」人数が急増している状況が明らかに。宿泊施設の拡充など受け入れ側の課題が浮き彫りになった。
四国遍路とは、四国一円に点在する空海ゆかりの「88か所札所」を巡礼するもの。昨今の歩きの総延長は1200キロメートル程度あり、全行程を一気にめぐると40~50日程度を要するものとなっている。
今回の調査によると、お遍路さんの人数は十数年前と比較して約4割減と大幅に減少。霊場へのアンケートでは、「歩き遍路」では約3割程度の減少だが、団体バス遍路は約95%減、マイカー遍路は73%減と大幅縮小。その理由は、日本人の宗教離れやレジャー多様化、国内外観光地との競争激化などにあるとみている。
一方で、近年は外国人の「歩き遍路」人数が急増しており、10年前(2007年44人)と比較して2017年は約10倍の400人に拡大。同レポートでは遍路人数のうち外国人の歩き遍路は0.5%に過ぎないものの、「世界的な歩き巡礼ブーム」が背景にあり、今後外国人の歩き遍路が大幅に増加する可能性があると分析している。
課題は受入環境の充実
宿泊施設など、お遍路さんの受け入れ側の状況をみると、10年前と比較してビジネスホテルが増加(84軒増)している一方で、旅館は大幅減(113軒減)となっており、総数はほとんど変わっていないことが判明。施設側の高齢化、後継者難、人手不足の深刻化もみられるほか、「お接待」をおこなう地域住民の減少も見られるという。
加えて、今回の調査では「言葉がわからない」「作法を知らない」「土地勘がない」「習慣がわからない」まま歩き遍路を始める外国人が「困っている」状況に言及。宿の基本情報や外国語での予約ルート、食事メニューの選択、キャッシュレス決済対応の不備なども「困りごと」として挙げられている。
このような状況を受け、同レポートでは、外国人遍路の拡大に期待すると同時に、受け入れ側の態勢整備が必要であることを示唆。スマホの翻訳アプリや地図アプリの精度向上などを図るほか、過疎地での民泊や空き家を利用した宿泊施設の充実、「お遍路さんコンシェルジュ」機能の強化などが求められるとしている。