世界のOTAや旅行会社向けに鉄道予約・販売のプラットフォームを提供するシルバーレイル社がこのほど、旅行調査フォーカスライト社と共同で、欧州の鉄道業界をテーマとする調査レポートを発表した。「MaaS(Mobility as a Service)」の取り組みにフォーカスし、業界のデジタル化事例などを紹介したもの。
レポートでは、オンライン予約が進む状況や、スマホでWeChatやWhatsAppといったメッセージサービスを介したプラットフォームが今後さらに浸透していく点では、鉄道業界も例外ではないと強調。主要顧客がミレニアル世代やZ世代にシフトしていくことを背景に、ホテルやフライトと同様に「数回クリックしただけで予約が完了する」シンプルな仕組みの需要が鉄道分野でも拡大。複数の交通手段を組み合わせたオンデマンド型モビリティサービス「MaaS」の推進が加速していくと予測している。
事例では、早くから欧州で鉄道規制緩和を実行した実績をもつスウェーデンの取り組みを紹介。同国では、1988年には議会が国営鉄道から線路の所有権を取得し、民間企業に鉄道を売却することで開放。それが、国営企業の予約システム部門だったLinkon(現在はシルバーレイルの傘下)や、時刻表・発券、リアルタイム交通データを扱う共同輸送会社Samtrafikenなどの事業拡大につながった。
また、Samtrafikenが運営するResPlusでは長距離列車や地下鉄、商用バスなど複数の交通機関を一括予約できる「マルチモーダルチケットシステム」を提供。ここでは消費者の利便性を考慮して、事前予約タクシーなども利用可能としており、今後はさらに「移動中」「タビナカ」での需要に応えるべく、進歩していく計画という。
SamtrafikenのCEOであるゲルハルド・ウェナーストロム氏は自社の取り組みについて、「我々は、すべての交通手段をひとつにまとめて1枚の列車の切符のようにみせている。その実現のためには複雑な技術的な課題も多いが、『環境と利用者の移動に優しい』仕組みに対する支持は大きい」とコメント。スウェーデンの事業モデルが北欧全体に、さらには欧州全体をリードする役割になっていく可能性もあるとしている。
詳細レポートは、以下から参照できる。