グーグルが旅行系サービスの拡充を加速、航空券の最安値保証や地図上のAR表示など

「グーグル・トラベル」画面(米国版)

グーグルが2019年8月以降、トラベル関連サービスの再構築と拡充を加速している。2016年に公開後、翌年には日本語展開もおこなっていた旅行計画スマホアプリ「Google Trips(グーグル・トリップス)」のサービスを終了する一方で、PCでもスマホでも利用可能な「グーグル検索」、「Google Travel(グーグル・トラベル)」や「Google Maps(グーグルマップ)」に同アプリの機能を統合している。

さらに、航空運賃の価格帯について最安値保証を付けるサービスや、エリア別のホテル料金相場の案内、AR機能を活用した立体画像地図での道案内など、範囲は限定されるものの、新機能を相次いで発表。いずれも旅行者の利便性を追求した内容となっているのが特徴だ。

グーグルのトラベル関連プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント、リチャード・ホールデン氏は同社のブログで新たなサービスを紹介するとともに「旅行のスタートから終了まで、あらゆるニーズに対応し、旅行者を助けとなる」と強調している。

以下、同社のブログで発表された新機能を抜粋してみた。

航空運賃の可視化や「最安値保証制度」を導入へ

「グーグル・トラベル」内のフライト予約サービスでは、すでに今春から主要路線について、価格帯を「高額」「低額」「標準的」の三段階で判断するほか、運賃が上下する可能性を予測するサービスを提供している。これに加えて8月からは、株価チャートのごとく、過去数か月の運賃レベルの推移をグラフで表示するサービスを開始した。

さらに、米国発国際・国際線の一部のフライト限定ながら、2019年9月2日までの約一カ月間は、予約客に対して最安値を保証。グーグルのデータ分析にもとづき「さらに値下がりする見込みはない」と判断した場合にその価格を保証するが、万が一値下がりした場合は差額分を返金する。出発便までの期間はずっと運賃の値動きをウォッチし、保証額を下回る運賃が出た場合は、利用客からの問い合わせがなくても、グーグルフライト側から利用客に通知する仕組みだ。

「グーグル・トラベル(日本語版)」での航空チケット価格の推移表示。今後の値下がりの見込みも表示される

ホテル予約者向けの情報提供を充実、ワンストップ&数クリックで表示可能に

また、Gメールでフライト予約の確認メールを受信した場合、ユーザーが「グーグル・トラベル(google.com/travel)」にアクセスすると、予約した旅行先に関連したおすすめ情報(ホテル、飲食店、体験など)を自動的に表示するレコメンデーション機能が稼働する。

一方、ホテル検索では、同じエリア内の客室料金の相場感や、近隣のタウン情報の充実に力を入れている。例えば、滞在日程を入力してパリのホテルを検索した後、「Where to stay」の項目をクリックすると、その時期の同エリアでの平均宿泊料金や、周辺のショッピングや散策情報、地図などが表示され、検索結果の絞り込みに役立つ。利用者の過去の利用ホテル履歴や検索内容が分かる場合は、こうした内容も検索結果に反映させていく方針だ。

「グーグル・トラベル」画面(米国版)

グーグルマップも機能向上、AR表示も可能に

グーグルマップでも、慣れない旅行先での利用を想定し、機能の利便性アップを図る。予約したフライトやホテル情報は、オフライン環境下でも、グーグルマップから数クリックで簡単に表示できる。

街歩きサポートには、従来のマップ情報に加え、AR(拡張現実)技術を活用した「ライブビュー(Live View)」を投入した。スマホを周囲360度方向にかざすと、二次元の地図ではなく、周辺の立体画像が表示されて、目指すべきルートに矢印が表示される。

ライブビューは、過去数か月かけて試験運用が行われていたもので、8月からアンドロイドおよびiOS端末でのベータ版利用が始まったところだ。今のところ、ライブビューが利用できるのは、グーグルのARプラットフォーム「ARcore」またはアップルの「ARkit」対応機種のみ。また対象地域は、ストリートビューが利用できるエリアに限定されている。

グーグルでは2019年3月、新たにバケーションレンタル事業に本格参入。さらに今後、飲食店の混雑状況やレコメンド機能、旅行から戻った後のデータ編集やシェア機能など、トラベル関連のサービス向上を多面的に進めている。同社が目指す「タビマエからタビアトまでのあらゆるニーズに対応し、旅行者をヘルプする」取り組みは、引き続き拡大していきそうだ。

グーグル・トリップス終了に伴う説明「Google 検索とマップで Google Trips App の機能を使用する」グーグル・トラベル

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