渋谷区、Googleと協業でデジタル観光戦略を発表、回遊性の向上からオーバーツーリズム解決まで

渋谷区と渋谷区観光協会は、Googleと協業する2020年デジタル観光戦略を発表した。今年の夏に東京オリンピック・パラリンピックを迎えるなか、Googleの多言語機能を活用し、訪日外国人旅行者向けに観光情報やマナー啓発の情報を発信していく。

渋谷区の長谷部健区長は発表会見で、「インバウンドの増加でさまざまな課題が出ている。行政だけでなく民間の力を借りて、街の課題を解決し、未来の渋谷を創っていく」とコメント。渋谷区では、今年度中に産業観光政策ビジョンの方向性を定める予定で、そのなかで観光エンターテイメントを街づくりの柱にしていく考えだ。

また、渋谷区観光協会理事長の金山淳吾氏は、渋谷には多様な国や地域からさまざまな世代が集まることから、「世界で使われているGoogleのソリューションをローカライズすることを選んだ」とGoogleとの協業の背景を説明した。

Googleを活用した観光施策では、まず観光案内のデジタル環境を強化する。区内各所に掲出するポスターやステッカーに二次元バーコードを表示。それを読み込むことで、訪日外国人のニーズの高いスポットやおすすめのルートをGoogleマップと連動させる。同時に、喫煙所マップなどの情報も提供し、マナー啓発も実施していく。

また、渋谷マークシティ内の「クリエーションスクエアしぶや」、「青ガエル観光案内所」、昨年12月にオープンした「渋谷フクラス」 1階の観光支援施設「shibuya-san tourist information & art center」の3ヶ所で、Googleアシスタント搭載のGoogle Nest Hubを設置し、リアルタイムな多言語通訳を始めた。東京オリパラ期間中は、外国人観光客の多い店舗などでの設置も計画する。

さらに、リクルートAirPayの受託事業とGoogle翻訳の使い方レクチャーを組み合わせ、区内店舗でのキャッシュレス端末の普及を支援していく。

このほか、デジタル観光戦略には民間運営の観光案内所などとの連携強化や2019年11月下旬に実施した外国人への街頭調査の結果を今年3月に開示することも盛り込んだ。

渋谷区は、特定時期に局所的に人が集まるオーバーツーリズムの課題を抱えているが、Googleの機能を活用した情報提供で区内の回遊性を高めていきたい考え。金山氏は「渋谷駅周辺と渋谷センター街の中腹ぐらいでオーバーツーリズムの課題がある」との問題意識を明らかにしたうえで、テクノロジーによって奥渋谷や代々木公園などへの分散化を進めていく考えを示した。

また、長谷部区長は、ハロウィーンと大晦日のカウントダウンは「スーパーオーバーツーリズム」と位置づけたうえで、「街の安心安全を守ることが最優先。テクノロジーを活用した有料化にもトライしていきたい」と話し、区民税に頼らない課題解決に意欲を示した。

(左から)shibuya-sanの石川雄大氏、Google合同会社の岩村水樹氏、長谷部区長、金山理事長、渋谷区観光協会の小池ひろよ氏

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