国際航空運送協会(IATA)は、2019年の世界の航空貨物市場について、供給を示す有効貨物トンキロ(AFTK)は前年比2.1%と増加したものの、需要を示す貨物トンキロ(FTK)は同3.3%減と落ち込んだと発表した。2012年以降はじめての前年割れとなり、2009年の世界的な金融危機以降では最も悪い結果となった。
2019年の世界貿易の成長率は0.9%と低く、航空貨物市場もその影響を受けた形だ。IATAでは、2020年は市場回復の兆しはあるものの、新型コロナウイルス拡大が航空貨物市場にどれくらいの影響を与えるのかを判断するのは時期尚早としている。
地域別では、アフリカを除くすべての市場で輸送量が減少。アシア太平洋のFTKのシェアは34.6%で世界最大だが、供給量は同1.1%増となったものの輸送量は同5.7%減で、世界で最も下げ幅が大きかった。これは、米中の貿易摩擦による影響が大きく、特に製造業の輸出の落ち込みが輸送量減少に反映された。
北米は供給量が同1.6%増に対して、アジアと同様に米中の貿易摩擦の影響を受けて輸送量は同1.5%減となった。このほか、ヨーロッパでは供給量が同3.4%増に対して、輸送量は同1.8%減。低調なドイツ経済やブレグジットの不確実性が航空貨物市場にも影響を与えた。