ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)プレジデント兼CEOのクリス・テイタム氏が来日し、グループインタビューを実施。世界的に感染が広がっている新型コロナウイルスへの対策やHTAが進めるレスポンシブル・ツーリズムについて説明した。
テイタム氏は新型コロナウイルスについて、「現在のところ、ハワイでは一人も感染者は見つかっていない」と強調。アメリカの州として、空港での水際対策などアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の指示に従って対応していることを紹介するとともに、日本向けにはポータルサイト「オールハワイ」で最新情報を発信していることを付け加えた。
中国とハワイを結ぶ唯一の直行便である中国東方航空の上海/ホノルル線は2月3日から運休。中国人旅行者は減少しているが、中国市場のマーケットシェアは1%以下のため、「ハワイ州の観光産業に与える影響は小さく、中国以外のマーケットも依然と変わりない」と現状を説明した。
ハワイから帰国した日本人旅行者の感染が名古屋で見つかったが、ハワイ州の衛生当局は、日本政府からの要請を受けて、感染者の接触者や接触先を追跡しているという。テイタム氏は「正しい情報を即時に発信していくことが大切」と話し、今後も旅行者の不安払拭のためにも情報公開を適切に行っていく考えを示した。
一方、日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏は、日本市場の見通しについて言及。現在、新型コロナウイルス関連で、修学旅行を予定している学校から問い合わせが来ていることを明かしたうえで、「影響が長期化すれば、第2四半期以降の予約に懸念がある」と話した。また、今夏の東京オリンピック・パラリンピックが海外旅行市場に与える影響にも留意しているという。
テイタム氏は、ハワイの観光ブランディングとして推進しているレスポンシブル・ツーリズムについて「ハワイの自然・文化資源を守っていく取り組み。成熟した日本の旅行者にもその責任を共有してもらいたい。環境を守る活動で業界をリードすることで、ハワイをスペシャルなデスティネーションにしていきたい」と説明。その普及に向けて、「シェア・ザ・アロハ」のコンセプトのもと啓蒙活動に注力していく方針を示した。「シェア・ザ・アロハ」の動画を活用し、SNS、旅行会社、航空会社、ホテルなどを通じて日本市場での露出を高めているところだ。
このほか、2018年5月のキラウエア火山の噴火で日本人旅行者が落ち込んだハワイ島の現状についても説明。2019年1月-5月は前年比35%減だったが、6月-12月は同16.5%増に回復し、「航空会社の搭乗率を見ても、徐々に回復してきている」(ヴァーレイ氏)という。今後もキラウエア火山以外のアトラクションやアクティビティを紹介していくことで、日本市場の回復と底上げを図っていく考えだ。
また、今年4月22日から26日にかけて、昨年に引き続きハワイ島に特化した商談会「ジャパンサミット」をハワイ島で開催。さらに、5月にはハワイ島からからセールスミッションが来日するなど、日本の旅行業界とハワイ島サプライヤーとのパートナーシップを強化する取り組みを進めていく。
プロサーファーの五十嵐カノア選手が親善大使に
ハワイ州観光局は、プロサーファーの五十嵐カノア選手が親善大使に就任したことを発表した。サーフィンはハワイが起源のスポーツ。東京オリンピックでも初めて正式種目になり、日本でも注目が高まっているところ。五十嵐選手もメダル候補として期待されている。
五十嵐選手は、滞在先のインドネシアから発表記者会見に参加し、「東京オリンピックで金メダルを取ることが今年の最大の目標。親善大使としては、サーフィンのパワーを使って、海の大切さを伝えていきたい」と意気込みを話した。
HTJは、現在ホノルルのビショップミュージアムで開催されているサーフィンの展示「マイ・キノヒ・マイ(Mai Kinohi Mai: Surfing in Hawaii)の一部を福岡、名古屋、大阪、札幌、東京で今年開催される「Hawaii Expo」でも紹介。サーフィンを通じてハワイの文化を啓蒙していくとともに、環境保護の重要性を訴求していく。