イギリスのヴァージン・アトランティック航空は2020年8月4日、ニューヨークで米連邦破産法15条の適用を申請した。アメリカでの破産法適用申請は、イギリスの裁判所で進められている救済策に関する手続きの一環。同社によると、今後は先月発表した再建計画を進めていく考え。この計画は過半数を超える債権者から賛同を得ており、今年9月の破産手続き終了を目指す。
ヴァージン・アトランティック航空は、新型コロナウイルスの影響で今年4月にすべての便を運休。7月に運航を再開したものの、ロンドン・ガトウィック空港の拠点を閉鎖し、すでに3500人の人員削減を余儀なくされている。
同社を創業したリチャード・ブランソン氏は今年はじめに、所有するカリブ海の島を担保として、イギリス政府に資金援助を申し出たが、拒否された。
7月には、ヴァージン・グループからの2億ポンド(約277億円)を含めて、民間資本による12億ポンド(約1660億円)の金融支援を発表している。
ヴァージン・アトランティック航空の株式49%を保有するデルタ航空は、同社からの支払い延期に同意。ヘッジファンドのDavidson Kempnerはヴァージン・アトランティック航空に対して1億7000万ポンド(約235億円)を貸し付けることで合意している。また、エアバス機の引き渡しも延期される。
新型コロナウイルスの感染拡大後、大手航空会社では、南米のLATAM航空、アビアンカ航空、アエロメヒコ航空も破産法適用を申請。ヴァージン・グループのヴァージン・オーストラリア航空も4月にオーストラリアで債権者保護を申請している。
※ポンド円換算は1ポンド138円でトラベルボイス編集部が算出