国際航空運送協会 (IATA)のアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長は、年末を迎えるにあたり、来年に向けて世界の航空業界が取り組むべきことを提言した。ジュニアック事務総長は「2021年になって、ウイルスが消滅するわけではない。今後一定期間、我々は共存していかなければならない。問題はどのようにウイルスのリスクを管理していくかだ」と話し、以下の4点を国際航空復活の鍵とした。
まず、安全安心な航空旅行を確保するためにグローバル基準に従うこと。具体的には、国際民間航空機関(ICAO)の需要回復タスクフォース(CART)が策定した感染防止対策ガイドラインをグローバルで遵守することを求めた。
2番目は、効果的なワクチン輸送の確立。各国政府に対して、冷凍保存施設の整備、官僚主義的な対応の排除、税関手続きの迅速化を進めるべきだとし、国際航空の再開に向けて、空港や航空従事者への早めの接種を呼びかけた。
3番目は、組織的な検査体制を整えたうえで、国境を安全に開くこと。現在、隔離措置が国際航空再開の最大のネックになっていると指摘。これまで世界各地で行われてきた実証のデータから、飛行前検査はウイルスが持ちこまれるリスクを軽減すると主張した。
最後は、認定された健康情報の効率的な管理。航空会社あるいは当局が試験結果やワクチン接種記録、個人の身元、旅程などを管理できるデジタルソリューションを提供していく必要性を強調する。IATAは「IATAトラベルパス」を開発し、その他にもさまざまなソリューションがあるが、各国はそれぞれ、費用対効果、使いやすさ、効率性、安全性を考えて、適切なシステムを導入するべきだとした。
なお、IATAは、現在も世界中で海外旅行が制限されていることから、航空および観光関連の失業者数は世界で4600万人にのぼり、GDP換算で約1.8兆ドル(約185兆円)を失うと試算している。
※ドル円換算は1ドル103円でトラベルボイス編集部が算出