世界各国のワーケーション事情をまとめた ―トラベルボイス調査レポート「ワーケーションの海外動向調査2021」

コロナ禍で日々の生活や仕事の環境が一変し、リモートワークが一般的になった。ビジネスパーソンにとって通勤時間がなくなるメリットがある一方、職住近接によるストレスを感じるという声も多く、注目されているのが「ワーケーション(Workation)」や「ブレジャー(Blesuire)」だ。グローバルレベルではワーケーション(リモートワーク)関連ビザの導入も進んでいる。

新たな市場獲得に向け、いま世界で何が起きているのか。トラベルボイスは、独自の調査レポート「ワーケーションの海外動向調査2021」を発表。その内容をまとめた。

トラベルボイス調査レポート

【読者限定レポート一覧】からダウンロード

※ダウンロードにはメルマガ登録が必要になります。
未登録の場合はぜひこの機会にご登録ください。

コロナで変わった世界各国の働き方

リモートワークの浸透を機に、観光においても新たな市場が生まれつつある。日本でも宿泊施設の多くがワーケーションプランを売り出し、滞在先の足回りやタビナカ需要の開拓を目指してMaaSの実証実験が行われるなど、地域経済活性化の鍵としての期待は大きい。ワーケーションに続き、ブレジャーにもスポットが当たり始めている。

ワーケーションとブレジャーは類似形態に捉えられがちだが異なる。

ワーケーションとは、普及が進む「在宅勤務」を、開放感のあるリゾート地などでおこない、そこに休暇をつなげることで、長期滞在の旅行を可能にしたり、休暇先で一定の日数・時間を業務に割り振ること。一方、ブレジャーは、出張先での勤務日前後に休暇を楽しむことを指す。

欧州ではコロナ以前、在宅勤務者の割合は5.3%に過ぎなかったが、パンデミック下では44.6%が在宅勤務を経験した。アフターコロナでも、4割は「毎日」または「週に数回」程度、在宅での勤務形態を望んでいる。欧州と同様、いまも新型コロナが猛威を振るっている米国の経営者層は、今後ほとんどの従業員が少なくとも1週間に1度のリモートワークをすると想定しており、休暇取得促進策としてもワーケーションに注目が集まっている。

また、韓国では、コロナ対策として約4割の企業が非対面や時差出勤、リモートワークなどの柔軟な勤務形態に対応。変更に対応するための補償体制も進みつつある。さらにリモートワークの浸透は、オフィススペースの縮小といった経費削減の観点からも世界的に着目されている。

欧州の動向(トラベルボイス調査レポートより)

ワーケーション関連ビザの導入が進む

それでは、デスティネーション(供給側)はどうか。

withコロナにおける新たな働き方を背景に、さまざまな国・地域はワーケーション(リモートワーク)関連のビザを発行し、ワーケーション市場の獲得に乗り出している。

人気観光地のひとつ、ドバイは外国籍の企業に終身雇用されていること、月5000USドル(日本円で50.2万円)の収入を条件に、最大1年間のビザ「Over-year virtual working program」を発行。アルバやバルバドス、ケイマン諸島など、カリブ海の国々もビーチリゾートの利点を活かしてワーケーション関連ビザを発行している。たとえば、ケイマン諸島の場合、10万USドル(日本円で約1032万円)の年収が要件だ。

このほか、ハワイは有能な技術を持つプロをハワイに誘致するため、本業でリモートワークをしてもらいつつ、非営利団体への活動などを通して地域貢献をしてもらうプログラム「Movers and Shakas」を実施。オアフ島までの無料航空券の供与や、宿泊・コワーキングスペースの割引を提供している。時差の問題はあるが、朝はハワイの海でサーフィン、日中はリモートワークといった働き方も可能だ。

ワーケーション関連ビザの海外対応事例(トラベルボイス調査レポートより)

このように、すでにワーケーション市場の獲得に向けた競争が始まっているなか、どのようなデスティネーションが人気なのか。

世界のビジネスマンを対象とした調査で、アジア34都市の中でブレジャーとして評価が高い場所を聞いたところ、東京が2位のシンガポール、3位のシドニーを上回りトップ。大阪も8位に食い込んだ。ワーケーション、ブレジャーを利用しやすい環境を整えることで、日本にも新たなインバウンド獲得に向けた大きなチャンスがあるといえそうだ。

このほか、世界各国の状況を取りまとめたレポートは以下からダウンロードできる。

トラベルボイス調査レポート

【読者限定レポート一覧】からダウンロード

※ダウンロードにはメルマガ登録が必要になります。
未登録の場合はぜひこの機会にご登録ください。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…