国際民間航空機関(ICAO)は、2021年の航空旅行の需要について、有効な感染防止対策とワクチン接種の進行によって、第2四半期ごろから航空旅行の改善が見られるとの見解を示した。ICAOによると、最も楽観的なシナリオでは、今年6月までに2019年比で71%(国際線53%、国内線84%)まで回復。最も悲観的なシナリオでは、回復は2019年比で49%(国際線26%、国内線66%)にとどまると見ている。
また、2020年の航空旅客数については、前年の45億人から18億人に減少したと発表。提供座席数は前年比50%減だったものの、旅客数はそれを上回る同60%減。2003年の水準にまで落ち込んだ。具体的には国内線旅客数が同50%減だった一方、国際線旅客数は同74%減で、前年よりも約14億人減少した。
航空旅行は2020年1月頃から影響を受け始め、パンデミックによるロックダウンなど旅行規制が世界各地で行われたことから、4月までで国際線旅客数で同98%減、国内線旅客数で同87%減に落ち込んだ。夏の繁忙期には、緩やかな回復を見せたものの、9月になると状況が再び悪化。その後、低迷が続いた。
前例のない需要後退で航空関連事業の損失額も拡大。航空会社は全体で3700億ドル(約38兆4000億円)、空港が1150億ドル(約11兆9000億円)、管制サービスが130億ドル(約1兆3500億円)の損失となった。 航空会社の損失額を地域別に見ると、アジア太平洋が最も多く1200億ドル(約12兆4500億円)、ヨーロッパが1000億ドル(約1兆400億円)、北米が880億ドル(約9兆1300億円)、南米が260億ドル(約2兆7000億円)、カリブ海諸国が220億ドル(約2兆3000億円)、中東・アフリカが140億ドル(約1兆4500億円)。
※ドル円換算は1ドル104円でトラベルボイス編集部が算出