ナビタイムジャパンは2021年3月25日から、オンラインツアー「Tra to La(トラットラ)」を開始する。まずは観光人力車「えびす屋」と連携し、浅草エリアで展開。「プランも買い物も思いのまま、自分のための自分だけの旅。」をコンセプトに、現地ガイドがリアルタイムに案内するプライベートツアーを提供する。
特徴は、参加者との事前相談をもとに、自由なプランニングとツアー中の買物体験が可能であること。同社の旅行サービス「NAVITIME Travel」(ナビタイムトラベル)で提供している旅行プランニング機能の活用している。この機能は、同社の経路検索技術を活用しているもので、行きたいスポットを選ぶだけで、位置関係や移動時間を考慮した行程と所要時間を瞬時に提示する。
ツアーの事前相談には時間と手間がかかるが、同機能を活用することで「遥かにプランニングがしやすくなる」(ナビタイム メディア事業部兼トラベル事業部部長の毛塚大輔氏)と自信を示す。ツアー参加者が同機能で作成したコースをガイドに共有して、要望を伝えることも可能だ。
事前相談がスムーズにできることは、ツアー体験の質の向上とともに、現地ガイド側にも大きなメリットになるという。実は、浅草エリアでの現地ガイドを担当するえびす屋では3年前から海外向けにオンラインツアーを実施しているが、「ツアー当日に要望を聞き、その場で考えて案内するのはストレスがかかる。事前に参加者の要望を知りたいと思っていたので、それができるのはモチベーションになる。(ナビタイムの)プランニング機能は操作性もスムーズで、手間はない」(えびす屋を展開するベリー・プロジェクト オンライン事業部の板倉優也氏)と話す。
サービスは現在、実験段階。ユーザーや参加者、現地ガイドのニーズを踏まえて改善を図りながら、旅行エリアや現地ガイドの事業者との連携を拡充していく。1年後には300ものコース展開を目指している。また、オンラインツアーを展開する事業者向けに、技術基盤を提供することも計画。「リアルの旅行トレンドと同様に、オンラインツアーにも個人旅行化の流れが来る。その時に速やかに提供していく」(ナビタイム毛塚氏)。そのために、技術とサービスをさらに磨き上げていくという。
オンラインツアー「Tra to La(トラットラ)」を体験
サービス開始に先立ち、ナビタイムのオンラインツアー「トラットラ」を体験してみた。
まずは、参加者がトラットラのサイト上から行きたいコースを選び、ツアーを申し込む。コースには既定のルートが設定されているが、申込時にツアー中に行ってみたい場所や体験などを伝えると、担当ガイドからそれを踏まえたアレンジプランがメールで提案される。事前相談は基本的に、メールで実施する。
サイト上のコース説明や、ガイドからメールで送られてくるアレンジプランの提案には、旅行プランニング機能によってルート説明や所要時間、地図などが表示されているので、ツアーではどこをどのように回るのかが把握しやすい。
ツアー時間は40分。道中、気になったことの質問や買物が気兼ねなくできるのは、プライベートならではの体験だ。土産物探しや買物を通して店の人との会話ができることは、オンライン上でもリアルに現地を共有している実感が強まる大切な時間になるだろう。
ナビタイムではオンラインツアーを開始する背景として、「コロナ禍で旅行に行きたくてもできない状況がある。そんな旅行者の思いに対し、独自の技術を生かしてよりリアルに近いサービスを目指した」と話した。旅行に行きたい人と現地ガイド、事業者を繋げ、旅行者に対する価値提供とともに、観光分野の事業者や従事者の支援に繋げることも考えている。