エクスペディアは、「最高の旅のパートナーになること」を目標に新たなブランド戦略を発表した。グローバルで同社ウェブサイト、アプリなどプラットフォームを刷新。複数の旅の要素をシームレスに組み合わせ、旅行者が個々のニーズや興味に合った旅を構築できる機能を強化した。今回発表された内容からは、同社が宿泊や航空券など旅のパーツを販売するオンライン旅行会社を脱却し、変化する可能性が透けて見える。
同社ブランド・シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのシブ・シン氏はオンライン会見で今回のリブランディングについて「過去5年で最大のマーケティング投資になる。単なるキャンペーンではない」と説明。同社では、パンデミックのなか、航空会社やホテルの感染対策情報の提供、各国の入国要件情報の提供、選択の際の感染対策フィルターの追加、柔軟な予約やキャンセル対応などを行ってきたが、今回のリブランディングでさらにサービス機能を拡充させる。
同社は日本を含めて9カ国で意識調査を実施。旅行者は完成度の高い旅行計画や安価な料金よりも、旅行前から旅行中までのサポートや効率的で利便性の高いサービスを求めていることが分かった。こうした旅行者の傾向をとらえ、新たに3つの点で機能を向上させる。
ワンストップで検索・予約、タビナカを含むパッケージ商品も
まず、アプリとウェブサイト双方で、すべての素材をひとつの場所に集約。旅行に関する情報をシームレスにワンストップで検索・予約できる環境を整えた。
アプリでは「キーププランニング」機能を搭載し、ユーザーが検索や予約を一旦中断しても、中断時の情報から引き続き旅行計画が再開できるように。また、予約した旅行に出発した後、旅行中の旅程変更も旅程管理に自動的にアップデートされる機能も追加した。
また、「航空券+宿泊施設+現地ツアー」を組み合わせた新たなパッケージ商品を導入。多くの選択肢から選ぶストレスを軽減し、 旅行プランの追加や削除といったカスタマイズが簡単にできるという。プランの合計金額が表示されるため、 購入時の心理的な負担も軽減するとしている。
タビマエからタビアトまでサポート体制を拡充
次に、タビマエからタビアトまでのサポートを充実させる。
その取り組みのひとつとしてオンラインチャットで旅行者をサポートする「バーチャルエージェント」機能を今年6月をめどに実装する。この機能では、「ワンクリックキャンセル」によって、ワンクリックで旅程全体をキャンセルできるほか、バーチャルエージェントに旅行について問い合わせることも可能。また、タビナカでのサポートでは、宿泊先周辺の体験ツアーを提案するリコメンド機能も提供する。
2500万人の利用者にポイント付与、「プログラム会員」に統合
3点目は、表示価格の透明性の向上させる。これまでは、宿泊料金に含まれる朝食や駐車場など、客室への宿泊以外のアメニティ(付加サービス)の多くがセットになっていたため、利用者は価格内に含まれている内容を十分に把握することが難しくなっていた。それを、より価格の透明性を高めるために、宿泊施設をアメニティ別に予約ができる機能を開始するという。フライトでも、機内持ち込み、座席指定などの料金を表示することで、フライトの選択肢を明確にしていく。
そして、すべてのエクスペディア会員を「エクスペディア会員プログラム」に統合する。これにより、まだ「エクスペディア会員プログラム」に登録していない約2500万人の利用者も、2回目のログイン以降利用金額に応じたポイントを獲得することが可能になる。
日本語サイトでは、今後数ヶ月以内に新しいサービスや機能の提供を開始する計画だ。
シン氏は「世界中の人々は旅行に出たがっている。旅行制限が緩和されれば、パンデミック以前よりも旅行需要は高まるだろう」との見方を示し、今回のリブランディングがポストコロナを見据えた戦略である点を強調した。