エアビーアンドビー(Airbnb Japan)は、広域連携DMO(観光地域づくり法人)の長野県観光機構と、県内の観光や体験を推進するパートナーシップを締結した。両者は、ポストコロナを見据え、地域コミュニティとの連携強化を通じた関係人口の創出や新しい観光価値の創造に取り組む。
長野県観光機構理事長の野原莞爾氏は発表会見で「ライフスタイルの変化によって、観光に求める価値観も変化している。これからの観光は量から質、非日常から日常や共感が求められ、観光地でなかったところも観光の価値を持つようになる」と話し、暮らすように旅をするスタイルが新たな地域との関係性を創出していくとの考えを示した。
長野県観光機構は、特にジェネレーションZやミレニアル世代などの若者層に焦点を当て、地域との関係性を持つことで、特定の観光地や観光イベントに頼らない持続的な集客を目指したい考えだ。
エアビーアンドビーが地域創生事業として地方自治体や観光団体と提携するのは長野県観光機構が5件目。同社代表の田邉泰之氏は「アフターコロナでは、人とのつながりを求める旅のニーズが高まる。地元ホストとのコミュニティづくりを支援し、ゲストがその人に会いに行きたくなるような関係性をつくっていきたい」と意欲を示した。
パートナーシップでは、まず辰野町を含む伊那谷エリアと須坂市峰の原高原で取り組みを進め、 今後さらに対象エリアを拡大していく計画。
具体的には、エアビー公式サイト内に長野県の特設ページを開設。連携記念のウェビナーを開催するほか、同社フェイスブック上で地元ホストのコミュニティを形成し、地域内の横のつながりを強化していく。
さらに、伊那谷エリアでは地域課題となっている空き家再生やまちづくりに、また須坂市ではペンションの再生などにも共同で取り組み、都市部からのワーケーションや長期滞在の需要取り込みを進めていく考え。
このほか、田邉氏は同社が提供している「体験」サービスについても言及し、地域体験は関係人口の創出につながることから「今後、地域の課題解決につながるような『体験』コンテンツの開拓も進めていきたい」と明かした。
長野県観光機構によると、辰野町などではコロナ以前から、新しいライフスタイルを求める若者の移住が増え、コロナ禍でその傾向は強まっているという。
また、辰野町のエアビーホスト「古民家ゆいまーる」の矢ヶ崎夫妻は、「何度も訪れてくれる若いゲストも増えてきた。古民家を拠点に長野県内をめぐる旅を楽しむリピーターも多い」と新しい旅の傾向を指摘。「今後は、飯田線沿いのエアビーホストと連携し、『いきつけの田舎』のようなエリアをつくっていければ」と話した。
一方、エアビーでは、コロナ禍でリモートワークなど柔軟なライフスタイルを求めるニーズが世界的に高まっていることから、日本だけでなくグローバルで地域コミュニティーや地域の観光事業者との関係を強化しているところだ。