伊ベネチア、危機遺産への登録を回避も、依然としてオーバーツーリズム解消に向けて課題は山積

写真:AP通信

ユネスコ世界遺産委員会は、「ベネチアとその潟」を危機遺産へ登録しないことを決めた。その代わりに、イタリア政府に対して、2022年12月までに、オーバーツーリズムや人口減少などの問題に対する具体的な対策を提示するように求めた。

イタリア政府は7月13日、危機遺産への登録を回避するために、ベネチアの水路を「国定記念物」に指定し、干潟(ラグーン)内への大型クルーズ船の入港禁止を決めた。この措置は8月1日から施行される。

ベネチアへの訪問者数は2019年に約2500万人に達し、オーバーツーリズムが深刻になっているほか、5万人の人口のうち毎年約1000人が、この状況から逃れるためにベネチアを離れるなど人口減少の課題にも直面している。

環境保護団体は、クルーズ船の入港禁止は問題解決のひとつにしか過ぎないとしたうえで、文化や自然資源の保護、都市開発の管理など課題は山積していると指摘。また、イタリア政府は、入港禁止の代わりに、アドリア海北西部にあるマルゲーラの工業港の近くに少なくとも4つの暫定ドッキングサイトを造成することを認めているため、干潟の危機は回避されておらず、市内の船の管理などを含めて長期的な観光計画が示されていないと批判している。

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