観光庁は、「新型コロナウイルス収束後のMICEのあり方に関する調査等業務」の公開報告書について、概要版と有識者インタビューから得られた示唆の概要(エグゼクティブサマリー)を追加で公開した。
今回公開された概要版では、事業目的や事業概要のほか、「ヒト(主催者/参加者/MICE 人材)」「モノ(施設/設備/開催地/ツール/テック)」「カネ (収支構造/リスクヘッジ/投資)」「コト(開催形態/プログラム/持続可能性」について、それぞれ変化と課題、今後の方向性をまとめた。
エグゼクティブサマリーでは、ウィズコロナならびにアフターコロナの会議のあり方について、2020年9月~11月下旬、2021年1月下旬に有識者にインタビュー。それをもとに、ヒト、モノ、カネ、コトを軸として、国際会議の開催に求められることを整理した。
ヒトの視点では、主催者に対して、複数メディアを通じた情報発信や開催地や関連事業者として可能な支援や手段の提供の検討が必要とまとめた。
また、参加者に対しては、オンライン参加から得られた行動データを分析することで、より深化した価値を提供することを求め、さらに、オンラインでは交流での不満や注意力の持続で課題があることから、人間工学的な視点などから快適性や利便性の向上が必要とした。
MICE人材については、海外主催者・関連事業者に対する情報発信に必要な語学力とコミュニケーションスキル やICTに関する知識が必要とされていると提言した。
モノの視点では、会場・施設に対して、感染防止対策の徹底のほか、ポストコロナ時代を見据えて、戦略を持った運営を求めた。また、開催地では、現状を把握したうえで、地域の上位目標や上位計画の意義を見出し、新たな国際会議の対応への方向性を明確にすることを求め、他業種とのコラボでソリューションの開発などを意識することが有効とした。
カネの視点では、会議登録料の変化、国際会議に対するスポンサードの変化に注視し、キャンセルのリスクへの対応の重要性を指摘。ステークホルダーにおいてリスク発生時の対応策や役割の協議・ルール策定などを行っておく必要性を指摘した。
コトの視点では、ハイブリッド形式がすでに一般化する一方、対面式の価値が改めて見直されていることから、開催目的に即した開催形態を採用し、可能性を広げることを提言。また、地域住民の理解や持続可能性に対する意識が高まっていることから、レガシーを含めて開催によるメリットを最大化し、負荷を低減する取り組みの重要性を指摘した。