エクスペディア・クループは、アフターコロナに向けた旅行への影響を調査する「Travel Value Index (トラベル・バリュー・インデックス)」を実施し、その結果をウェビナーで説明した。この調査は、日本を含む世界8カ国約8000人に行ったもの。調査結果からは、旅行に対する価値観が変化していることが明らかになった。
「2021年は旅行に最も多くお金をかけたい」が34%
2021年の旅行意欲についての調査では、34%が「旅行に最も多くお金をかけたい」と回答。「家のリフォーム」(18%)、「エンターテイメント」(12%)、「医療・健康関連」(11%)などよりも高い割合となった。
また、アフターコロナでの旅行の意義について尋ねたところ、最も回答が多かったのが「旅行の最大の意義は、新しい・初めての体験ができること」(56%)となり、「旅行を通じて異なる文化や社会について学ぶこと」(51%)、「旅行で心と体の健康を増進すること」(48%)が続いた。
コロナ禍でさらに注目が高まっているサステナブル・ツーリズムについては、およそ5人に3人(59%)が「環境に優しい方法で旅行するためなら料金が高くなっても構わない」と回答。国別で見ると、最も高かったのはメキシコで76%。日本は48%で平均を下回り、8カ国中最低となった。
同じく関心が高まっている多様性については、およそ3分の2(65%)が「平等で差別のない社会を目指すソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)を実践する旅行会社を利用する」と回答。国別では、この項目でも日本が47%と8カ国中最低となった。
調査結果を説明した同社宿泊&アクティビティ。アカウント・マネージメント担当副社長のハリ・ナイル氏は、「サステナビリティと多様性は、旅行者を惹きつけるひとつの機会になっている。特に、ミレニアル世代やZ世代ではさの傾向は強く、将来的に彼らは高い購買力を持つようになるため、旅行会社はこの分野に注力していく必要がある」との見解を示した。
このほか、海外旅行再開の切り札として期待されているワクチンパスポートに対する意識についても調査。全体では71%が肯定的な回答を示した。国別では、7カ国すべてが60%を超えているのに対して、日本は51%と最も低い結果となった。
旅行におけるプライオリティに変化
トラベル・バリュー・インデックスでは、予約判断に関する調査も実施。調査結果から、旅行予約に関して重視するポイントをランク付けしたところ、最もプライオリティが高かったのは「予約の変更時に全額返金が可能」で、4人に1人が回答。次いで「安全衛生策」となり、コロナ前はトップだった「価格」は3位に後退した。
返金については、特に航空(26%)、バケーションレンタル(26%)で高い結果となった。また、多くの国で格安料金が重要度のトップに挙げられたのは、唯一クルーズ旅行だけだった。
宿泊施設に関して、日本とアメリカの40歳未満の旅行者は、徹底した清掃作業を最も重要な項目に位置付けるとともに、非接触体験とプレミアム特典にも重きを置いていることも分かった。
調査を実施したウェイクフィールド・リサーチ社のポール・ブラガン氏は、「旅行者は、アフターコロナでの自らの旅行を再定義しようとしている。明らかに旅行におけるプライオリティが変わってきた」と説明。パンデミックが始まった頃は、元に戻ることを望んでいたが、「新しい様式が定着するにつれて、新しい体験やスタイルを求める傾向が強まっている」と分析した。
予約時の透明性と利便性が重要に
新しい体験を求める傾向は調査結果にも表れており、「新しい体験がしたい」との回答は56%。「初めての場所に旅行したい」は75%、「初めての乗り物で旅行したい」は52%といずれも高い割合となった。
また、自由な時間と引き換えに「休暇」と「昇給」のどちらを選ぶかとの問いに対して、全体では36%が「もっと休暇が欲しい」、64%が「昇給を希望する」と回答。国別では、「もっと休暇が欲しい」が最も多かったのは日本で55%。世界平均を大きく上回った。
このほか、旅行予約については、52%が「幅広い料金と選択肢を見て決めたい」と回答。38%が「宿泊と交通をまとめて予約したい」と回答した。この結果から、同社戦略旅行パートナー担当副社長のグレッグ・シュルツ氏は「旅行者は透明性と利便性を求めている。特に、衛生状態や返金/キャンセルポリシーについて知りたいと考えている」と説明した。