米国、5Gサービスの空港周辺での提供を延期、航空各社が警告、高度計などに干渉で「壊滅的な危機」の可能性を指摘

米大手航空会社や業界団体のエアラインズ・フォー・アメリカ(AFA)は、米連邦航空局 (FAA)や米運輸長官に対して、空港近辺での5Gサービスが航空機の運航に支障をもたらす恐れがあるとして、サービスの延期を求めた。これを受けて、AT&Tとベライゾンは米政府との協議を経て主要空港付近での新しい5Gサービスの開始を延期する決定をした。

航空各社が延期を求めた経緯を米旅行メディアのスキフトが伝えている。

アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空のCEOは、「5Gは、高度計など航空機の繊細な計器に干渉する恐れがある。視界の悪い状況での運航に支障が出る恐れがある」と訴えた。

AFAによると、航空路から2マイル(約3.2キロメートル)以内で新たにCバンド周波数帯が使用された場合、航空輸送は「壊滅的な危機」に見舞われる可能性があるとしている。

また、UPS、アトラス航空、ジェットブルー航空、フェデックスも「率直に言って、実施されれば国内の商取引は停止に追い込まれる」と危機感を示す書簡を送った。

通信大手のAT&Tとベライゾンは2021年1月、800億ドル(約9.1兆円)でCバンド周波数帯を獲得した。干渉リスクを軽減するために、50空港周辺に緩衝地帯を設けることで合意し、6ヶ月間にわたってその措置を実施。5Gサービスの提供を今年1月19日まで延期していた。

それでも、航空各社は「最新の航空機の安全システムは利用できないかもしれない。それは想像よりも大きな問題を引き起こすかもしれない」と警告した。

一方、FAAは1月16日に、5Gサービスが展開される空港のうち45%が低視界飛行が可能と判断し、飛行を認めた。しかし、航空各社は、そのリストに多くの大規模空港が含まれていないと反発していた。

※ドル円換算は1ドル114円でトラベルボイス編集部が算出

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。 

オリジナル記事:U.S. Airline CEOs Sound Alarm of an Impending 5G Crisis

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