ANA Xが描く観光DX、シームレスなタビナカ体験の世界とその狙い、リンクティビティと連携する理由を聞いてきた(PR)

航空事業の一本足経営からの脱却を目指し、あらゆるシーンで顧客接点を作ろうとするANAグループ。「マイルで生活できる世界」をコンセプトに、航空や旅行といった「非日常」領域に加えて、「日常生活」領域においても、ANAグループの強みを生かした商品・サービスをマイルと結びつけて展開している。グループ内のANA Xは、タビマエからタビナカまでをひとつのサービスとしてシームレスに提供する「TaaS(Travel as a Service)」の構築を担い、デジタル化に舵を切っている。

その一環として2021年11月、ANA Xの旅行者が二次交通や観光施設の入場券などをオンラインで購入し、QRコードで利用できるタビナカ販売の実証実験を開始した。QRコードのEチケット発券を手掛ける「リンクティビティ」との連携で実現したものだ。タビナカのEチケット化は旅行者だけでなく、タビナカ事業者のデジタル化の推進にも繋がる。ANA Xが目指す新しい旅のスタイルと旅行販売の姿とは?

決め手は予約から決済までのEチケット化の実績

ANA Xには以前から、旅行販売においてデジタル化での課題があった。コロナ禍の直前には旅行商品の約半分がオンライン販売に移行していたが、多くは航空券+宿泊のダイナミックパッケージで、レジャー施設の入場券などは紙の引き換えクーポンの送付が必要だった。「ウェブで完結することができないため、シームレスなサービスになっていない。お客様の利便性の追求と、当社内でオペレーションに関わる人的リソースの効率化が必要」(ANA X国内旅行事業推進部事業企画チームリーダーの金澤利夫氏)と感じていたのだ。

課題を認識しつつも、旅行商品の売上の半分近くが依然として店頭で購入されている状況では、一足飛びにオンライン化に転換する決断ができなかった。オンライン化するにしても、自社開発では初期投資や運用費などが負担増となる。しかも、旅行は広域でサプライヤーとシステムをつなげることになるため、時間と労力がかかってしまう。

コロナ禍で収入が見込みづらく、開発費の確保が難しい環境の中、アフターコロナではより一層デジタル化が進むことを念頭に、二次交通とタビナカのコンテンツをシームレスに利用できるようにするにはどうしたらよいか。「そこで着目したのが、オープンプラットフォームで予約から決済までをEチケットで完結するリンクティビティだった」と、金澤氏は話す。

その判断には、ANAが2020年9月から、MaaSでリンクティビティと連携していたことも大きく影響した。ANAの「空港アクセスナビ」に予約決済機能を追加し、ANA利用者に交通機関や観光施設などのEチケットを購入できる仕組みを提供していたのだ。

連携にあたり、ANA Xとして複数のベンダーと比較検討もしたが、「リンクティビティはANAとの連携における信頼性に加え、販売チャネルとなるOTAやサプライヤーとQRコードを活用したEチケット販売で連携実績があった」(金澤氏)ことが決め手になった。

また、旅行会社はサプライヤーからの仕入れを自社で在庫管理する必要があるが、リンクティビティと連携すれば、商品在庫がリンクティビティのシステム上で管理される点も、効率面で大きなメリットになると期待している。

ANA X国内旅行事業推進部事業企画チーム リーダーの金澤利夫氏

シンプルな仕組みでタビナカ販売開始、マイルも付与に

両社の実証実験は、2021年11月から開始。対象エリアは関東で、まずは東京スカイツリーの展望デッキと展望回廊のセット券、東京モノレール、羽田往復きっぷ、スカイホップバス東京の当日券など約15メニューを用意した。感染状況が落ち着いていた同年12月まで、メールマガジンや羽田便の航空券を購入したANAマイレージクラブ会員(AMC会員)に向けて訴求したところ、反応が良かったという。

仕組みは、ANAウェブサイトの実証実験ページをはじめ、国内ツアーやダイナミックパッケージ、レンタカー、遊び・体験の各ページやANA公式LINE、メールマガジンにバナーやリンクを貼ることで、リンクティビティが用意するANA X専用の商品販売サイトに遷移させるというシンプルなもの。羽田空港行きANA航空券購入者の予約詳細画面にも、入り口を設けた。リンクティビティとの連携では、API連動のように費用面や工数面の大きな負担はなく、オンライン販売を開始できるのが特徴だ。旅行販売はANA X、旅行実施はリンクティビティとなる。

販売商品が予約・精算されると、リンクティビティが購入者にQRコードをメールで送信。現地での利用時にはそのQRコードを使い、券売機でチケットを受け取る。オンラインによるチケット流通の効率化や顧客利便性の向上に加え、「非接触での発券は時代にフィットする」(金澤氏)メリットもある。

ANA Xでは、リンクティビティとの話し合いから2カ月ほどで実証に漕ぎ着けた。その期間、社内の他部署と調整を進めながら、販売の方法、販売動線やANA Xの特殊事情であるマイル付与についても検討を重ねた。AMC会員が商品販売サイトへの遷移前にログインをすることで、購入額200円毎に1マイルを付与できる仕組みも設けている。

ANA X国内旅行事業推進部事業企画チームのマネジャーである大槻真資氏は、「ANA X側で(マイル付与などの)価値提供の方法を確認する必要があり、連携決定後すぐの実証開始とはならなかった。それでも、導入まで早かったのではないか」と、スピード感ある導入ができたと評価する。

なお、実証実験は期間を、当初予定の2022年1月末までから5月末まで延長することを決めた。年明けからオミクロン株の感染が拡大し、予定されていた「GoToトラベル」の再開が延期となり、平時とは異なる人流動向となったためだ。大槻氏は「お客様がどこで買い求めるのか、どこで離脱するのかなど、平時での精緻なデータを取得する必要がある」と話し、感染状況が落ち着いた後の利用拡大に期待している。

連携先のオウンドメディアにバナーやリンクを貼ることで、スピーディな導入が可能

遷移先となる商品販売のページ

タビナカでのバリューを最大化、旅行全体のDX促進も

ANAグループでは、マイルで生活できる“ANA経済圏”の構築に向け、日常での顧客接点を開拓しているところ。昨年末には、飛行機だけでなく、電車、車、徒歩など日常生活の移動手段や距離に応じてポイントが貯まるモバイルアプリサービス「ANA Pocket」の提供を開始した。

ANA Xが担うTaaSもこの取り組みのひとつ。金澤氏は「これまで、お客様の現地消費を取りこぼしていた。これからは、宿泊・日帰りの旅行だけでなく買物のついでに立ち寄るようなレジャーもその範疇になる。今回の連携は、ANAのTaaSのファーストステップ」と位置付ける。大槻氏も「マイルでAMC会員のライフタイムバリューを最大化する。TaaSでそのバリューを上げていく」と話す。

ANA X国内旅行事業推進部事業企画チーム マネジャーの大槻真資氏

日常のシーンを含む幅広い購入データを取得できれば、リコメンドする効果の高い商品やそのタイミングなども把握できるようになる。パーソナライゼーションの部分も、リンクティビティとの連携に期待するところだ。金澤氏は「欲しいタイミングは人によって異なる。データを基に購買時から消費まで、顧客体験価値を上げていく必要がある」と強調する。

ANA Xでは、実証実験で業務フローを確認したのち、ANA独自の品揃えを増やしていきたい考え。一方、リンクティビティ国内事業提携チームマネージャーの小林美恵子氏も、「サプライヤーの開拓には常に注力している」と述べた上で、ANAとの実証実験においても2022年3月、さらに商品数を追加したことを説明した。今後も、連携先からの要望を踏まえながら商品数を拡大していく考えだ。さらにリンクティビティが連携先に提供する商品販売サイトもUI・UXを改修し、同年3月から新バージョンでの提供を順次、開始している。

小規模事業者が多いタビナカは、その形態も細分化されているため、最もDXが遅れている分野といわれているが、金澤氏は「リンクティビティの仕組みが広がれば、タビナカのデジタル化も進むのではないか」と期待を寄せる。そのためには、商品管理の登録や運用が簡素化され、「サプライヤーが自走できることが理想」(金澤氏)になる。リンクティビティの小林氏も、プラットフォームとして連携先の要望を重視している方針を示した上で、サプライヤーの直接登録に向けたシステム開発に応える姿勢を示した。

“ANA経済圏”の構築に向けて、2022年度中に「ANAスーパーアプリ」のローンチを目指しているANA X。そのなかで、TaaSがどのような展開を見せるのか。リンクティビティとの連携も含めて、今後の展開に注目だ。

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問い合わせ: info@linktivity.co.jp

記事:トラベルボイス企画部

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