JTBは、今年のゴールデンウィーク期間(2022年4月25日~5月5日)の1泊以上の国内旅行動向の見通しをまとめた。今年は、5月2日と5月6日を休みにすると、4月29日から最長10連休となるが、国内旅行者数は前年同期比68.4%増の1600万人、2019年比では43.4%減になる見込み。また、JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況をみると、行動制限の緩和から前年比130%(4月5日時点)となっている。
国内旅行平均費用は同6.8%増の3万4500円(2019年同期比3.9%減)。一人当たりの旅行費用は、「1万円~2万円未満」が前年と同様に23.8%で最も多く、「2万円~3万円未満(17.8%)」、「1万円未満(14.1%)」が続いた。3万円未満の合計は55.7%と前年に比べ9.6ポイント減少している。総額は5520億円になると推計した。
ガソリン価格の高騰など物価高によって、ゆとりの感じ方に変化が見えるなか、「今後1年間の旅行支出に対する意向」については、「これまでより旅行支出を減らしたい(37.1%)」が「これまでより旅行支出を増やしたい(15.5%)」を上回ったが、2021年調査と比較すると、「旅行支出を増やしたい」という割合は増加し、「旅行支出を減らしたい」は減少する結果となり、旅行に対する前向きな姿勢が伺われた。
GW期間中に旅行に行くかどうかについては、「行く(「行く」と「たぶん行く」の合計)」と回答した人は調査時点で17.2%と前年から6.9ポイント増加。性年代別でみると、「行く(「行く」と「たぶん行く」の合計)」が男性29歳以下は22.1%、女性29歳以下は16.1%。60歳以上では、男性が7.9%、女性が5.5%となり、男女とも若い年代ほど旅行意向が高くなる傾向がみられた。
一方、旅行に行かない最大の理由は、依然として「新型コロナウイルス感染症がまだ収束していないから/拡大の懸念があるから(39.4%)」となったが、その割合は前年から24.5ポイント減少した。次いで「ゴールデンウィークは混雑するから(31.9%)」「ゴールデンウィークは旅行費用が高いから(21.4%)」「家でのんびりしたいので(21.0%)」となった。
遠方への旅行増加、アウトドア宿泊は減少に
旅行内容については、コロナ前の状況に戻りつつある様子も見られる。
全体的な傾向として、前年が居住地域近隣を中心としたエリアツーリズムが多かったのに対し、今年は遠方への旅行が増加し、併せて旅行日数と費用も増加傾向。また、利用する交通機関は自家用車・レンタカーが減少し、JR新幹線と航空機が増加している。
旅行先では、「関東」が20.7%で最多となり、次いで「近畿(15.5%)」「東海(10.2%)」「九州(10.2%)」となった。居住地別に旅行先を見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道(75.3%)」「東北(68.0%)」「九州(66.4%)」の3地域では7割前後と高い割合となったが、前年と比較すると、すべての地域で域内旅行の割合は低くなっており、遠方への旅行が増え、特に「関東」と「近畿」への旅行は、居住地域以外のすべての地域から増加する結果となった。
利用宿泊施設で最も多いのは「ホテル」で43.8%。前年より5.6ポイント増加した。次いで「実家や親族の家(22.3%)」は1.8ポイント減少、「旅館(21.5%)」は1.5ポイント増加。コロナ禍で増加した「キャンプ場・グランピング・キャンピングカー・車中泊など、アウトドアに関する宿泊(4.5%)」や「民泊・貸別荘(1.1%)」は、いずれも減少する結果となった。
ワーケーションについては、GW期間中に「ワーケーションを行う予定はない(75.2%)」が最も多いものの、前年より2.5ポイントの減少。「宿泊施設のワーケーションプラン、ワーケーションに特化した施設を利用する(6.1%)」は前年より増加し、ワーケーションを実施予定の人が増えていることもわかった。
このほか、デジタルデバイスの活用についても調査。どのようなサービスであれば、デジタルデバイスで受けたいかについて聞いたところ、最も多かった答えは「宿泊施設の部屋のカギ、チェックイン・チェックアウト手続き(34.8%)」で、次いで「観光施設等での入場・入館証扱い、支払い(33.7%)」「物品の購入(自動販売機、売店など)(33.6%)」「レストランや観光施設、移動手段等の混雑状況の表示(33.4%)」「電車やバス、航空機等乗り物のチケットとしての活用(チケットレス対応)(32.1%)」となった。同社では、レストラン、コインロッカー、シェアサイクルなどでの利用希望はまだ少ないものの、今後の拡大が期待されるとしている。