国交省、知床遊覧船事故で運航管理者への資格試験案、風評被害への対策も急務、安全評価の視認性高める検討も

北海道・知床で沈没事故を起こした「知床遊覧船」(KAZU1:総トン数19トン)について、国土交通省は2022年5月20日、有識者による第2回「知床遊覧船事故対策検討委員会」を開催した。

年内までに小型船舶の旅客輸送に対する安全対策を取りまとめるとした第1回委員会を踏まえ、具体的に「事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化」、「監査・行政処分のあり方」、「船舶検査への実効性の向上」、「利用者への安全情報の提供」の4テーマで対策案が示され、検討委は大筋で了承。国交省も対策の実行を急ぐ。

国はこれまでも小型船舶の事業者に対し監査や検査を定期的に実施してきていたが、多くの大切な人命を失ったKAZU1の事故を受け、国会などから不適切な事業者の洗い出し、運航管理者の資質を求める声が上がっていた。今後、運航管理者に関係法令、海事知識を問う試験導入、定期的な講習受講の義務付け、検査方法を届け出から認可制へ変更する体制強化などを検討する。監査については、抜き打ち、リモートによる監査強化、裏取り調査による確認などの対策案も提示された。

全国で広がる風評被害に対しては

観光事業者にとって、今回の事故による風評被害は甚大で、全国で小型船舶を利用した観光に対するキャンセルが相次いでいる。

利用者への安全情報の提供について、国交省はこれまで非公表だった事業者への行政指導について、全件公表する方針を固める一方、「ネガティブだけでなく、安全管理をしっかりおこなっている事業者などポジティブな情報発信も強化しなければならない」(国交省海事局船員政策課長・谷口礼史氏)との考え。国交省海事局内航課長の小林基樹氏も「たとえば、貸切バス事業者には安全性評価認定制度のマークがある。小型船舶についても、視認性を高める取り組みが必要になってくる。今後、事業者側の声も聴きながら検討を進めたい」と話した。

旅客船事業者による情報提供のあり方については、次回5月27日の第3回検討会でも議論される。

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