マスターカード・エコノミックス・インスティテュートが旅行に関する最新の調査「Travel 2022: Trends and Transitions」を発表した。調査結果から、同社では世界のレジャーおよびビジネス目的のフライト予約がパンデミック前の水準を超え、クルーズ、バス、鉄道への支出が大幅に改善、世界の旅行需要の回復が重要な節目迎えているとしている。この調査は、アジア太平洋地域の9つの市場を含む世界37カ国を対象にしたもの。
調査によると、フライト予約の傾向が現在のペースで推移した場合、2022年のアジア太平洋地域のフライト利用者は昨年に比べて4億3000万人増加すると推定している。例えば、オーストラリアでは、国境が開かれた後、インドネシアへのフライト予約は2022年に約200%急増し、米国へのフライトは2倍以上となった。
また、アジア太平洋では、消費者は余剰貯蓄を旅行資金に充てる傾向があり、旅行先でモノよりも体験にお金を使う傾向が強いと分析。例えば、シンガポールでは、2022年3月までの外国人旅行者による体験への支出はパンデミック前の水準から約60%増加した。
一方、旅行者の訪問先の選定に影響を与える新たな要素としてインフレを挙げている。例えば、日本では円安ドル高のなか、パンデミック前の100ドルの購買力は、2022年には日本で約17ドル上昇。訪日旅行者にとって大きなメリットとなる可能性があると指摘している。
さらに、懸念材料としては、人手不足や原油価格の高止まりによる航空運賃の高騰を挙げている。例えば、平均航空運賃はオーストラリアででおよそ11%、シンガポールではおよそ27%上回っているという。
このほか、アジア太平洋地域の旅行者に人気の旅行先は、入国制限に影響されており、現在では米国が最も人気が高く、オーストラリア、シンガポール、英国、カナダが続く。しかし、今後制限が緩和されるにつれて、アジア太平洋地域内の旅行の人気が増すと推測している。