ジャマイカのエドモンド・バートレット観光大臣が、「ツーリズムEXPOジャパン2022」の開催に合わせて来日し、日本市場への期待を語った。ジャマイカは2020年6月から国境を再開し、外国人旅行者の受け入れを始めた。バートレット大臣は「この2年間、それまで抑えられていた旅行需要の反動は大きい」と話し、水際対策が大幅に緩和される日本についても「その潜在力は高い」と評価した。
「日本とジャマイカは、遠いようで実は近い国」。バートレット大臣はそう話す。日本は、ジャマイカ産ブルーマウンテンコーヒーの最大の輸入国。陸上100メートルの世界記録保持者のウサイン・ボルトは陸上界を超えて有名な存在で、レゲエの神様ボブ・マーリーのファンも多い。
両国間に直行便は飛んでいないが、ジャマイカと米国あるいはカナダ間の路線は太く、日本発のフライトとの乗り継ぎの利便性は高い。例えば、首都キングストンまではトロントからは4時間、ニューヨークからは3時間、アトランタからはわずか2時間だ。ジャマイカ観光局のドノバン・ホワイト局長は「日系航空会社の直行便開設を望むが、まずは乗り継ぎ便の利便性を伝えていきたい」と話す。
その関係が深い両国は、2024年に「日・ジャマイカ外交関係樹立60周年」を迎える。バートレット大臣は、その関係を「JJ Relationship」と呼び、今後外交的な交流とともに、文化交流そして観光交流も発展させていく考えを示した。
「80年代後半から90年代にかけては日本人観光客も多かった。ジャマイカは受け入れる準備は整えている。日本も10月11日から水際対策が大幅に緩和されることから、大きなチャンスだと思っている」。今回の来日では、ANAおよびJAL、大手旅行会社、日本旅行業協会(JATA)とも会い、旅行商品造成の可能性を話し合ったという。
主なターゲットは、「スポーツやエンターテイメント、多様性に関心が高く、世界をもっと知りたい思っている若者」(バートレット大臣)。ホワイト局長は、2024年に向けてプロモーション計画を策定していく考えを明らかにした。
観光の回復力を高める教育にも注力
このほか、バートレット大臣は、コロナ禍で観光産業が大きな打撃を受けたことから、ジャマイカの大学に「観光レジリエンス・危機マネージメントセンター」を設立したことにも触れた。そこには、パンデミックや災害などの危機によるダメージを最小化し、どのように観光を回復させていくかという問題意識があるという。「日本にの大学にも同様のアカデミー機関を立ち上げることを働きかけていきたい」と意欲を示す。
また、ジャマイカ政府は、毎年2月17日を「グローバル・ツーリズム・レジリエンス・デイ」に指定することを提唱。バートレット大臣は、2023年2月15日から3日間にわたって、最初の会議がジャマイカで開催されることも紹介した。