国際航空運送協会 (IATA) は、2023年の世界の航空業界の純利益が47億ドル(約6440億円)に黒字転換するとの見通しを明らかにした。黒字化するのは2019年以来。総収益は7790億ドル(約107兆円)を予測していることから、純利益率は0.6%となる見込み。
2022年は、6月に予測した97億ドル(約1.3兆円)の損失から改善し、69億ドル(約9450億円)の損失を見込む。2020年の1377億ドル(約19兆円)の損失、2021年の420億ドル(約5.8兆円)の損失からは大幅に改善する見通し。
2022年の旅客収益は8.4%増(6月の予想5.6%から上昇)。旅客収入は、6月予想の2390億ドル(約33兆円)から4380億ドル(約60兆円)に増加すると予想している。旅客数は、2019年比で82.4%まで回復すると予測されていたが、現時点では70.6%にとどまっている。総収益は、前年比43.6%増の7270億ドル(約100兆円)の見込み。航空貨物が引き続き好調で、2019年の1008億ドル(約14兆円)の約2倍に当たる2014億ドル(約28兆円)に達すると見ている。
2023年については、予想総収益のうち旅客収益は5220億ドル(約72兆円)。旅客数は2019年比で85.5%まで回復し、2019年以来初めて40億人を超えて、42億人に達すると見込む。この予想は中国でのゼロコロナ政策も考慮に含まれている。
一方、好調を続けてきた航空貨物については、下振れを予測。2022年比で520億ドル少ない1494億ドル(約20兆円)と予測する。世界的な経済の不確実性のために、貨物量が5770万個に減少するとの見込みのため。
全体のコストは前年比5.3%増の7760億ドル(約106兆円)と予想。労働力、スキル、キャパシティの不足のほか、インフラ整備でコスト圧力が強まるとの予想。総燃料費は2290億ドル(約31兆円)と推計。これは総費用の30%に当たる。平均ジェット燃料価格は1バレルあたり111.9ドル(約1.5万円)と見込む。
アジア太平洋地域については、損失額は2022年の100億ドル(約1.4兆円)から66億ドル(約9040億円)に縮小すると予想。旅客需要については2019年比70.8%、供給量は同75.5%の回復にとどまると見ている。ただ、 2023 年後半にも中国で制限が徐々にでも緩和されれば、潜在的な需要が急速に回復すると予測している。
このほか、IATAでは2023年のリスクとして、一部地域での景気後退、中国のゼロコロナ政策の延長、サステナビリティへの取り組みに対するコスト増などを挙げている。
※ドル円換算は1ドル137円でトラベルボイス編集部が算出