近距離移動のモビリティプロジェクトなどを展開するWHILLはこのほど、シニア世代の外出・社会参加影響調査の結果を発表した。流行前とwithコロナ時代について比較したもの。シニアの半数の外出頻度・社会参加が、コロナ流行前水準に戻っていないことなどが浮き彫りになった。調査は2022年12月6~16日、全国65歳以上の男女600名を対象に実施した。
まず、コロナ流行前(2020年2月以前)と現在(2022年12月)を比較し、シニア世代に外出頻度・人との交流を聞いたところ、47.5%が「減った/やや減った」と回答。昨秋から全国旅行支援が始まったが、「増えた/やや増えた」と回答した割合は1割程度にとどまった。外出回数は、コロナ前は「ほぼ毎日」が3割程度(27.2%)だったが、現在は8.5ポイント低下。2022年9月以降も、3人に1人が「週に1回以下」(31.5%)と答えた。
買い物や通院などの日常に必要な外出に大きな変化は見られないものの、友人・近所付き合いは61%減、友人・親戚宅の訪問は53%減、観劇・映画鑑賞は48%減となった。
また、外出・社会との関わりが減ったことで、4割以上が「体力や身体に衰えを感じた」と回答。ただ、外出や社会との関わりの頻度のいずれかが減ったシニア368名に「外に出る機会が増えれば、社会と関わりを持つことに対して、より前向きになれると思うか」について尋ねたところ、9割近くが「なれると思う」と答えた。
こうした結果を受け、医師で東京大学・高齢社会総合研究機構・機構長・未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢氏は、「感染予防と地域交流の両面をバランスよく考え、産学官民連携のもと、新たな地域づくりに向けてチャレンジしていく時期だ」などとコメントしている。