帝国データバンクによると、2023年の自社の商品・サービスのコスト上昇に対する値上げ実施・予定は、年度初めの2023年4月がヤマになりそうだ。4月が42.8%と最高で、通年でみると1~5月の前半に集中している。1月が28.1%、5月が26.5%、3月が20.6%、2月が20.2%と続く。4月は値上げ実施時期としてキリが良いと考えている企業も少なくなく、さまざまな産業で消費動向に影響が出そうだ。調査は2023年2月3~7日に実施。有効回答企業数は1335社だった。
同社が2022年12月に実施した調査では、企業の販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は39.9%と算出されたが、実態はコスト上昇分の多くを企業が負担している。
一方で、今回の調査によると、多少なりとも価格転嫁できた理由は、「原価を示した価格交渉」が45.1%でトップと最も高くなった。ただし、旅行業も含まれるサービス業では、「全く転嫁できていない/していない」が全体の17.2%を大きく上回る34.6%に。「価格交渉」は21.5%にとどまり、「日頃から発注者へのコストの影響しそうな情報共有」(12.7%)、「既存の商品・サービスの改良」(11.8%)、「新商品・新サービスの開発」(9.6%)となった。
全体的にも先行きは不透明で、同社は「企業だけの取り組みは限界を迎えつつある。引き続き政府や行政は、価格転嫁の実態をよく把握し、さらに価格転嫁を受け入れやすい環境づくりや、サプライチェーン全体での価格の底上げを率先していく必要がある」などと指摘している。