フランス、ポルトガル、英国、ドイツなど欧州各国では、航空会社のストライキが相次いでおり、イースター休暇に大きな影響が出る恐れが指摘された。ロイター通信によると、航空管制を担当するユーロコントロール社のスティーブン・ムーア氏が「遅延が発生することは間違いない」と予測していた。
昨年、旅行者は長い行列と欠航に悩まされた。パンデミック前の需要回復に備えて、人手不足の解消に何ヶ月も努めてきた航空会社は、活発化するストライキに不満を強めている。
EUの厳格な消費者補償規則が緩められる可能性は低いため、遅延や欠航が発生すれば、航空会社は、何の補償を受けることなく、利用者に補償金を支払う必要が出てくる。
消費者団体は、「航空のストライキは新しいものではない。航空会社は迅速に対応し、補償を支払うべきだ」と話している。また、欧州の消費者ロビー団体は、混乱が予想されるときは、航空券の前払いを段階的に廃止すべきと主張している。
フランスでは、年金改革法を発端とするストライキによって、これまで数千時間の遅延が発生。ユーロコントロール社のデータによると、1日で計7万分の遅延が発生する日もあるという。フランス民間航空局DGACは、3月13日以降ほぼ毎日のように、航空会社に対して、パリ・オルリー空港などで20~30%のフライトを削減するように求めてきた。
航空・空港のトップらが嘆き、地域経済への影響も
ライアンエアーのマイケル・オレアリーCEOは、このストライキによってフランスの空域は混乱しており、欧州全体の航空便の約15%が影響を受けていると不満を漏らしている。オレアリーCEOは、欧州委員会に対して、ストライキが領空通過に影響が出ないようにする最低限のルールを求めた。
パリの空港運営会社ADPの労働組合のファブリス・クリケ事務局長は、「状況を正常に戻す唯一の方法は、マクロン大統領の政府が年金改革を撤回することだ」と述べている。
ドイツでも、労働組合によるストライキが航空輸送に混乱を引き起こしている。フランクフルト空港だけで、30万人以上の旅客に影響が出た。同空港のシュテファン・シュルテ氏は「これだけで、数百万ユーロの損失になる」と嘆く。
シュルテ氏は「重要なインフラに対するストライキは、調整されたものであるべき。システム全体に大きな影響を与えてしまう」と話す。
ポルトガルでは、入国管理職員のストライキが予定されている。ポルトガルの観光地アルガルヴェの観光業界やホテルは、ストライキが地元経済に深刻な影響を与えると警告している。