エアビーアンドビー(Airbnb)は、同社サイトで展開してきたタビナカでの「体験」の提供を一時停止することを明らかにした。パンデミックのなか「体験」の提供を休止していたが、昨年、2022年9月に再開していた。
同社は、「パンデミックを経て旅行が回復し、ゲストが再び体験に関心を向けるなか、Airbnbの体験を通じてつながるユニークな機会はこれまで以上に大切なものになっている。Airbnbでの体験を含むコアサービスをより良いものにしていく一環として、すべての新しい体験の申請受理を一時的に停止する。Airbnbは、体験の未来に今後も期待しており、今後、数か月でさらなる情報を公開する予定だ」という声明を出している。
同社のブライアン・チェスキーCEOは、1年前には「『体験』には、非常に大きな可能性がある。今後数年のうちに大きな投資分野になるだろう。今年からその製品を強化する。『体験』に関する新しいサービスが披露できるだろう」と述べていた。
海外メディアが報じた識者の見解
米国の観光産業ニュース大手「フォーカスワイヤ」は、現地体験のeコマース・スタートアップ「Holbob」のソリューション担当副社長ステファン・ジョイス氏の話として、今回の一時停止の措置の理由を「Airbnbが第3者のシステムに接続できず、体験を提供するホストにはAirbnbのエコシステムだけを使用すること求めているためだ」と伝えている。
さらに、ジョイス氏は「今回の一時停止が、接続の次の段階に進むためものとしても、驚かない」とも話している。
また、米観光産業ニュース「スキフト」は、体験予約Viator(ビアター)で中東アフリカ地域ディレクターを務め、現在はGo Ciiy広報のバイディ・リー氏のコメントを報じている。リー氏は、「今回のAirbnbの決定は予想外というわけではない。現地体験でもデジタル化は進んでいるが、この業界は依然として非常に細分化されている」と話したうえで、シェアリングエコノミーのビジネスを拡大させていくためには「より迅速な運営ができるように、コアビジネスに集中する必要があるのではないか」との見解を示した。
調査会社バーンスタインのアナリストであるリチャード・クラーク氏は、Viatorが欧州大手旅行会社TUIの体験予約「TUI Musement」と、エクスペディアが体験予約「Get Your Guide(ゲットユアガイド)」と提携したように、Airbnbが現地体験市場でB2Bのアプローチを強める可能性があると指摘。今回の一時停止は、そのための準備見ることもできるとしている。
Airbnbは、チケット予約プラットフォームTiqets(チケッツ)の株式を取得しているが、同社のビジネスとは統合されていない。