ハワイ州観光局が取り組む、日本人旅行者の本格回復への道筋を現地取材した、新キャンペーンも展開へ

ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)およびハワイ州観光局(HTJ)は、ホノルル現地で「ジャパン・サミット2023」を開催した。日本からは旅行会社82人、現地パートナーは180人が参加。日本・ハワイの旅行業界は、今夏からの本格的な市場復活に向けて取り組みを強化していく。

新キャンペーンのコンセプトは分かりやすさ

HTJは昨年、観光政策を転換し、地元コミュニティに敬意を払う旅行を促進する「マラマ・ハワイ」キャンペーンを開始した。この取り組みについて、HTJ日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏は、大手旅行会社が「マラマ・ハワイ」のバッケージを造成・販売するなど「日本のマーケットの反応はよかった」と評価。この活動に合わせて、現地コミュニティでも「日本人のような旅行者に来てほしいという声が高まった」という。

HTJは、その取り組みの第2段階として、2023年5月27日と28日に東京で4年ぶりに開催される「ハワイEXPO」に合わせて、「マラマ・ハワイ」のもとに新たな広告キャンペーンを発表する。現在、新たなビジュアルを制作している。HTJ日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏は、リピーター以外にも訴求を高めていくことを狙いとして、「すべての島のストーリーをわかりやすく伝えていく」と説明。5月8日に新型コロナの感染法上の位置付けが5類に引き下げられることから、旅行会社や航空会社の販促戦略とタイミングを合わせて、「今年第2四半期以降は、スピーディーに前進していく必要がある」と強調した。

新たな広告キャンペーンの基本的なコンセプトは、新型コロナで離れた人と人との関係性の再構築。「旅が世界を変える。人と人の共有感を高め、絆を戻すことで、地球にも、ハワイにも優しくなれる」(ヴァーレイ氏)というメッセージを伝えていきたい考えだ。

そのうえで、今年特に注力するのがロンマスマーケット。HTJでは、日本ハワイウェデイング協会と共同でプロモーションを展開する。ウェディング特設サイトをリニューアルするほか、新たにブロモーションビデオも制作。また、今夏には、大手ウェデイング会社を招き、沖縄県と共同でのウェデイング相談会も開催する予定だ。

また、ゴルフの訴求も強化する。プレイだけでなく、滞在も、食事も、体験もコンパクトに楽しめることを競合デスティネーションとの差別化ポイントに据えて、新たなビジュアルで「年代ごとに異なるゴルフシーンを伝えていく」(ヴァーレイ氏)。

ヴァーレイ氏は「これからはコラボレーションがカギになる」と指摘。旅行会社、航空会社、民間企業との協業を積極的に進めていく考えを示す。また、姉妹都市との連携も強化。今年7月には、ハワイの各都市と連携する日本の全姉妹都市を集めた「ハワイ姉妹都市サミット」が開催される。

新キャンペーンについて説明するヴァーレイ氏。2023年の日本人はコロナ前の4~5割か

ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)によると。一人当たりの日本人の消費額については、2022年が231ドル(約3万1000円)で2019年の237ドル(3万6600円)を若干下回ったものの、米西海岸の219ドル(2万9000円)、カナダの185ドル(約2万5000円)よりも高くなっている。

一方、滞在日数は、他の主要マーケットに変化が見られない中、2019年の5.94日から8.83日と増加。この背景について、ヴァーレイ氏は「コロナ禍で個人客が多く、タイムシェアなどでの滞在が主な要因」と分析した。

日本人旅行者数については、直近2023年2月のハワイへの日本人旅行者数は2019年比77.9%減の2万6650人とまだ回復には道半ばだが、ヴァーレイ氏は「3、4四半期で盛り返し、2023年は2019年比で40から50%で着地するのではないか」との期待を示した。

グリーンフィーの結論間近か

このほか、現在、ハワイ州議会で議論が行われている「グリーンフィー」について、今週(4月第4週)にも結論が出る模様だ。これは、ハワイ州非居住者がハワイ州を訪れる場合に、自然環境の保護を目的に一定額を徴収するもの。

ジョジュ・グリーン知事が「州立公園やビーチ、国有林、国有地のハイキングコース、またはその他の国有自然地域の利用には1年間有効のライセンスを必要とする」とした法案を提出した。海外メディアの報道によると、その額は50ドル(約6700円)と言われている。

日本旅行業協会、「積極的に海外旅行の潮目を変えていく」

日本旅行業界(JATA)海外旅行推進部長の稲田正彦氏は、海外旅行の需要喚起に向けたプロモーション「JATA海外旅行促進プロジェクト」について説明した。海外旅行の様子をシェアしてもらう「応援投稿キャンペーン」、若年層に向けた機運醸成とした「現地のZ世代イチ推しTwitter投稿」を紹介したうえで、「将来に向けて、高校生や中学生が海外を体験するベースを作る必要がある」と訴えた。

また、「パスポート取得費用サポートキャンペーン」については、第一弾として、ハワイ、グアム、韓国、台湾の各観光局と協力し、取得費の半額を還元する。第二弾は、JATA会員旅行会社の参画で同様のキャンペーンを展開していく。

5月21日には、観光庁、JATA、各観光局と共同でアウトバウンド促進に向けた記者会見を行う予定。稲田氏は「(新型コロナの5類が移行する)5月8日を契機に、積極的に海外旅行の潮目を変えていく」と意欲を示した。

※ドル円換算は1ドル134円でトラベルボイス編集部が算出

ハワイ特派、トラベルジャーナリスト 山田友樹

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