2023年5月10日に開催された「Google I/O 2023」で、グーグルのARCoreとシンガポール政府観光局 (STB) は、「ビジット・シンガポール」アプリで展開する没入型AR体験のプレビューを発表した。これは、旅行者が「ARCore Geospatial API」 を利用して、没入型のガイド付きツアーに参加するもの。まずは、マーライオン公園とビクトリアシアター・コンサートホール周辺でのツアーを提供する。
Google Partner Innovationsグループプロダクトマネージャーのミゲル・デ・アンドレス・クラベラ氏は「ARテクノロジーの力を利用して、物理世界を拡張し、シンガポールへの旅行者や地元の人たちに、役に立つだけでなく、驚きの体験を提供できる」と話す。
グーグルは、2022年に「ARCore Geospatial API 」をリリース。Googleマップのライブビュー強化に使われているテクノロジーと同じもので、グーグルの「Visual Positioning Service (VPS)」 に基づいて、開発者は位置、方向を追跡することで、現実世界の仮想コンテンツを配置することができる。
さまざまなAI技術を使用して、スキャンされた環境からの画像とストリートビュー画像から何兆もの3Dポイントで造られた世界のモデルとを照合する。ユーザーは、カメラを向けるだけで、デバイスがどこにあるか、どの方向に向けられているか、ARコンテンツはどこに表示されるべきかをほぼ即座に正確に把握することができる。この機能は、5Gによるインターネットの高速化によって実現するものだ。
シンガポール政府観光局最高技術責任者のウォン・ミン・ファイ氏は「STBは、観光における没入型テクノロジー拡張現実(XR)の可能性を模索してきた」と話す。XRは、キャラクターやストーリーに命を吹き込む。これによって、訪問者は、その場所の歴史に没入したり、別の領域にトリップしたりする。XRは、現地体験はを向上させる強力な可能性がある。ファイ氏は「訪問者はまったく新しい方法で有名な観光スポットを楽しむことができるようになる」と続けた。
「ビジット・シンガポール」アプリのAR ガイド付きツアーを利用すると、利用者はシンガポールで人気の観光マスコット「メルリ」を追いかけながら、シンガポールの象徴的なランドマークや隠れた名所を巡る没入型ツアーを楽しむことができる。
ツアーのハイライトのひとつは、「ビクトリアシアター・アンド・コンサートホール」の国定記念物のうえで繰り広げられる実物大の弦楽四重奏団による演奏だ。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:GOOGLE PARTNERS WITH SINGAPORE TOURISM BOARD FOR AI-POWERED GUIDED TOURS