エア・カナダ、日本市場でのNDC環境整備は「今年末まで」に、国内線・国際線を拡充へ

エア・カナダは、2023年12月1日からトロント/イエローナイフ線に週3便で新規就航する。機材はエアバスA220。このほど来日した同航空マーケティング・デジタル担当執行役員副社長のマーク・ナスー氏が明らかにした。イエローナイフは、カナダ北西部ノースウェスト準州の州都でオーロラ観光で知られる都市。既存のバンクーバー/イエローナイフ線と加えて、オーロラのピークシーズンの需要に応える。

同航空は、パンデミック後の施策の一つとしてカナダ国内線の拡充を進めており、トロント/イエローナイフ線の就航もその一環。ナスー氏は「日本マーケットの需要にも応えられると思う。ノースウエスト準州観光局とともに、オーロラだけでなく、カナダのユニークな観光コンテンツである先住民観光も訴求していく」と意欲を示した。

国際線については、パンデミックを経てグローバルで今後さらに拡大していく。日本路線は、今年4月22日に羽田/トロント線を3年ぶりに再開。6月2日からは関西/バンクーバー線も週4便で再開する(関西発は6月3日)。成田/トロント線、バンクーバー線、モントリオール線を加えると、2023年夏期スケジュールでは最大週32便を運航し、旅客の収容力を示す有効座席マイル(ASM)は2019年同期比で8.5%増加することになる。

また、2023年冬期スケジュールでは、最大週21便、ASMは2019年同期比で43.5%増を計画している。

デジタル戦略も加速、バイオメトリックス搭乗や機内Wi-Fi整備

ナスー氏は、施策の柱の一つであるデジタル戦略についても説明。その一環として、主要空港でバイオメトリックス技術(生体認証)を活用した搭乗やラウンジの入場などを進めていると説明した。今年2月にバンクーバー空港で部分導入。今後、今年末までに同空港で全面導入を進めた後、トロント空港やモントリオール空港などに拡大していく。ナスー氏は、デジタル戦略について、「より旅客に寄り添ったサービスを展開していくとともに、従業員の労働負荷を軽減することで、その分を顧客サービスの充実にあてていく」と話した。

このほか、機内Wi-Fiの導入も加速させる。現在、エア・カナダ・ルージュのビジネスクラスでは無料Wi-Fiを提供しているが、カナダの通信会社ベルと新たに提携し、5月15日からアエロプラン会員向けに、エア・カナダの機内でメッセージング通信サービスの提供を始めた。ナスー氏によると、WhatsApp、Messenger、Messages by Google、LINEなどの主要コミュニケーションアプリで、テキストベースのメッセージの送受信が可能になっているという。

日本市場でのNDC環境整備は今年末までに

このほか、ナスー氏は、新たに発表されたNDCプログラムについても言及。そのメリットとして、同航空が提供するすべてのコンテンツへのアクセス、GDSには出ていないプロモーションコードへのアクセス、ダイナミックプライシングのなかでベストプライスへのアクセスを挙げた。

カナダ本国では、今年6月14日から旅行会社の移行をサポートするNDCクーポンインセンティブを導入する予定。日本市場については、今年末までに利用できる環境を整えていく計画だという。

NDCについては日本の旅行会社による採用が進まない現状があるが、ナスー氏は「GDSをNDCに置き換えるものではない。旅行会社に対しては、ダイレクト接続、アグリゲーターとの接続、GDSの3つの方法を提供し、日本の特性に合わせた流通システムを時間をかけて構築してく」考えを示した。

なお、エア・カナダは2023年第1四半期の実績も発表。旅客収入は、「特に米国と欧州の需要回復が顕著だった」(ナスー氏)ことから、前年同期の2倍以上の40億8800万カナダドル(約4170億円)となり、過去最高を記録した。売上高は2019年同期比でも約10%上回る過去最高の48億8700万カナダドル(約5000億円)となった。

※カナダドル円換算は1カナダドル102円でトラベルボイス編集部が算出

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