ヤフーのデータソリューションサービスは、検索データなどのYahoo! JAPANのビッグデータをブラウザ上で調査・分析できるツール「DS.INSIGHT」の新機能として、新たに「DS.INSIGHT Trend」の提供を2023年8月下旬に開始する。
「DS.INSIGHT Trend」は急上昇トピックやトレンドを可視化分析できるツール。年間約90億種類の検索キーワードから消費者ニーズや課題を可視化するとともに、利用許諾を得た1000万人を超えるGPS位置データを統計化する。
新機能の「Trend」は、「DS.INSIGHT」をベース機能として提供されるもの。これまで提供されてきた、検索データを元に生活者の興味関心やトレンドなどを可視化する「People」、位置情報・検索データを元に特定エリアでの人口動態や検索特徴を可視化する「Place」とあわせて3つ目の機能となる。
このほか、「DS.INSIGHT」では、オプション機能として、行動データを元に人物像のライフスタイルや興味関心を可視化する「Persona」を提供している。
同社データソリューション本部DS.INSIGHTサービスマネージャーの田村健氏は、発表会見で「不確実性の時代、消費者のニーズや課題が非連続に変化する環境で、それを少しでも早く把握することで、製品やサービスの開発に貢献していく」と話し、「Trend」開発の背景を説明した。
同社は昨年12月にAIがトレンドを予測する「商品トレンドマップ」を発表。この取り組みが「Trend」の開発にもつながった。
「Trend」の大きな特徴は3つ。ヤフー年間約90億種類の検索キーワードからトレンドを抽出していること、1年間の長期トレンドから前日のバズワードまで検知が可能なこと、AIによるキーワード分類で特定分野ごとのトレンド把握が可能なことだ。
検索ボリュームとトレンドスコアから「急上昇トピック」や「これから流行りそうなもの」をトレンドマップとして俯瞰できるほか、ランキング形式で表示することも可能。また、急上昇キーワードを1日単位で表示する。さらに、ユーザーが設定したカテゴリのトレンドを定期的に配信する「メールレポート」も加えた。
田村氏は、今後について「データをさらに拡充して、生活者理解の解像度を高めるとともに、今年10月には『LINEヤフー』の発足が予定されていることから、他のソリューションとの連携も強化していく」と意気込みを示した。
今後の旅行トレンド予測、韓国リベンジ旅行など
機能発表の会見では、同社データソリューション本部シニアデータアナリストの池宮伸次氏が「DS.INSIGHT Trend」を活用した今後のトレンド予測として、10のアイテムを発表した。
このうち、旅行系では、広島県大竹市の「下瀬美術館」をあげた。40代~50代の女性の検索が多く、2023年2月から検索数が増加している。
また、韓国旅行に関する検索が軒並み増加している。「ロンドン ベーグル ミュージアム」「タンバリンズ」「明洞餃子」などが頻繁に検索されているという。こうした傾向から、コロナ禍で海外旅行に行けなかった反動からの「韓国リベンジ旅行」を今後のトレンドとして加えた。
さらに、今年7月に富士宮市朝霧にオープンしたキャンプ場「朝霧Camp Baseそらいろ」もピックアップした。検索数はオープン前から増加していることから関心の高さが伺えるとした。
興味関心で「旅行」が高い検索者の間では、宮古島の「雪塩サンド」も人気だという。特に30代~40代の女性の検索数が増加している。また、今年6月30日に調布にオープンしたフレッシュフルーツサンドの「果実屋珈琲」も女性を中心に検索数が増加している。
今回ピックアップしたトレンドは、過去のデータ傾向や、ヤフー独自のロジックを元に「DS.INSIGHT Trend」で抽出したもの。池宮氏は、「今回発表したトレンド予測は、時期やタイミングを設定しているものではなく、過去の傾向からさらに伸びると期待されているもの」と説明した。