豪州ケアンズ、観光局CEO来日でオーバーツーリズム対策を説明、日本人旅行者は7割まで回復

オーストラリアのクイーンズランド州ケアンズ観光局CEO、マーク・オルセン氏がこのほど来日し、最新の日本市場の動向や観光施策などについて話した。2023年6月にケアンズを訪れた日本人旅行者数は、2019年同月比で70%まで回復。続く夏休みシーズンも、ケアンズの商品を扱う旅行各社の中には、コロナ前と比べて30~40%台の伸び率になるところもあり、「とても順調に推移している。2025年までに過去最高だった25万人を達成することが目標」とした。

熱帯雨林とグレートバリアリーフ、2つの世界自然遺産への玄関口であるケアンズでは、「こうした魅力を未来につなぐ責任がある」(オルセン氏)との考えから、オーバーツーリズム対策にも早くから取り組んでおり、旅行者誘致と資源の研究や保全を両立に力を入れている。

例えばグレートバリアリーフでは、観光利用できるエリアを全体の7%とし、一か所に集まる人数は最大250人までと制限することで、訪問客の一極集中を回避。同時に、グレートバリアリーフ海洋管理局(GBRMPA)のエコガイドと一緒に、サンゴの調査やウミガメのリハビリテーションなど、保護活動に参加できるプログラムも提供。旅行者に海洋調査をサポートしてもらうことで、サステナブルな観光への理解促進にもつなげているという。

同観光局セールス&マーケティングマネジャー・アジアの坂本サム氏は、「ケアンズでは環境保護税を生態系の調査、研究、保全活動の予算として役立てている。訪れる人が増えることが、環境保全にもプラスになる体制を整えているので、ぜひ多くの人にケアンズを訪れてほしい」と呼びかけた。

そのほか、具体的な事例として、1日の入島人数を100人までに制限しているフランクランド島や、一般車両の進入を禁止し、専用シャトルバスを運行しているモスマン渓谷、ケアンズ市街でのピクトグラムを使った表示案内などを紹介した。同観光局にメンバー登録している事業者のうち、エコ認証を取得しているのは全体の16%だが、2030年までにこれを30%まで拡大したい考えだ。

右端がオルセン氏、左端が坂本氏。左から2人目はクイーンズランド州政府観光局日本・韓国局長ポール・サマーズ氏、残りは後半にトークセッションした3人

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