タビナカ予約「クルック(Klook)」、宿泊予約とタビナカ旅行商品のセット販売を開始、若年層の消費行動の変化に対応

旅行・レジャー予約サイト「Klook(クルック)」は、2023年9月20日、日本の観光施設チケットや鉄道乗車券などのタビナカ商品とホテル宿泊を組み合わせた「Stay+(ステイプラス)」を販売開始する。単品で別々に購入するよりも割安なセット価格で販売し、予約や決済は一度にまとめて行う。バウチャーも一元化できるので、価格のメリットに加え、ユーザーの旅行手配の手間も省けるとしている。

ホテルと組み合わせるタビナカ商品は、基本的に旅行者の需要が高いものを想定。訪日客向けには、JR西日本の関空特急「はるか」や京成スカイライナーなどの空港鉄道乗車券、人気テーマパークのチケット、SIMカード、ポケットWi-Fiなど。日本からの海外旅行者向けには、ユニバーサルスタジオ・シンガポール入場チケット、台湾高速鉄道、バンコク空港送迎など。ホテル客室とタビナカ商品のセットプランとして、Klookがプラットフォーム上で割安な価格を設定したうえで販売する。事業者側がセットプランを作成する必要はない。

同社の日本法人ゼネラルマネジャー、増田航氏は、同社がステイプラスに注力する背景についてミレニアル・Z世代の消費行動の変化を挙げる。「旅行を計画する際、行き先や宿泊先よりも、現地での体験を最も重視しており、予約の順番でも、まず旅先で何をするかを決めるようになった」と話している。

クルックが今年7月に実施した調査(12市場・2400人対象)では、全体の85%が「体験にもっとお金をかけたい」、同65%が「フライトの前に、旅程を計画する」と回答。また同社サイト訪問者の検索キーワードは、「体験」「交通」が大多数を占めているものの、そのうち42%が最終的にホテルもクルックで予約しており、ホテルより先に現地手配を行っていることがうかがえるという。

ステイプラスは、まず2022年に台湾、香港、シンガポール、続いてタイ、フィリピン、マレーシアでスタートした。クルックによると、海外のステイプラスに参画するホテルでは、成約率(コンバージョン率)の伸びが、参画していないホテルと比較して33.9ポイント高くなっており、サイト訪問者への訴求力向上につながっているとの考えだ。

タビナカを起点にホテル予約

クルックの主力商品は、旅先での体験アクティビティや地上交通サービスだが、ステイプラス商品化に向けて、同社では6月に国内ホテル流通システムのTLリンカーンと接続するなど、準備を進めてきた。2020年には第2種旅行業も取得している。

同社が掲載する宿泊施設数は、OTAとの連携で日本の宿泊施設の販売を開始した2020年1月当時で5000施設。その後、TLリンカーンとの接続を開始した2023年6月には約3万5000施設と大幅に増加させてきた。今後は宿泊施設との直接契約を進めていく予定もある。

今回のステイプラスの開始による国内ホテルのメリットとして、同社では宿泊施設の宿泊プランづくりが効率化できることや、外国人宿泊客からフロントへ問い合わせが多いチケット手配などにあらかじめ対応できることを挙げている。また、鉄道との組み合わせは、インバウンド旅行者の主要観光ルートにはないホテルへのアクセスを便利にし、訪問先の分散にもつながると同社では期待している。

ステイプラスの対象となるホテルは、現在、アジア太平洋地区では約1000軒。日本国内では、スタート時点でホテルチェーンなど20社ほどが参画する。

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