日本観光振興協会(日観振)、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)が開催した「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ) 大阪・関西」が2023年10月29日、多くの業界人、一般客によるにぎわいをみせて閉幕した。
TEJが大阪で開催されるのは4年ぶり。2025年大阪・関西万博に向けて観光需要復活の弾みをつけるため、万博関連のプログラムが多数企画された。コロナ禍を経て再構築が求められている観光産業の未来の姿を示すため、SDGs、トラベルテック、アドベンチャーツーリズム、宇宙ツーリズムといった新潮流にも幅広くフォーカスした。
今年の業界向けフォーラムのテーマは「未来のために、ツーリズムを『再考(Rethink)』する」。万博など、観光産業で今知っておきたい3つのテーマで構成したシンポジウムや、観光のプロフェッショナル向けの各種セミナーなどで活発な情報共有がおこなわれた。
TEJ実行委員長の髙橋広行氏は10月26日開いた主催者会見で“Rethink”の意味について、「SDGsへの対応を含めたポストコロナにふさわしい旅行を開発する必要がある」と言及。オープニングセレモニーでは岸田文雄首相が「オーバーツーリズム問題に対応しながら、持続可能な形で地方誘客に取り組み、道半ばの海外旅行の復活にも全力を挙げる」と、観光産業の再成長を後押しするビデオメッセージを寄せた。
国連世界観光機関(UNWTO)エグゼクティブディレクターのゾリティサ・ウロシェヴィッチ氏も、「TEJの成功が2025年大阪・関西万博の万全の体制につながる」と期待を寄せた。そして、TEJ開催にみられる日本の観光産業の官民連携の体制が高いレベルにあると評価した。
世界の観光トップも4年ぶりに大阪を訪れた。今年は日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の友好協力50周年であることからASEANを観光大臣・観光行政のトップ、UNWTO、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)など5団体の代表が参加して第6回TEJ観光大臣会合を開催。日本からは、国交大臣政務官 加藤竜祥氏が参加した。会議では、コロナの脅威から脱却した世界がツーリズムをどう再構築していくかについて、持続可能性とレジリエンスの両立などで意見が一致した。
2日目のシンポジウムでは、これからの日本の観光復活に大きく寄与する「海外旅行」「万博×観光」「アドベンチャーツーリズム」をテーマとして取り上げた。
国内、訪日に比べて回復の遅れが問題となっている海外旅行は、観光庁審議官の石塚智之氏が「早期回復に向けた政策パッケージに取り組んでいる」と官民連携の取り組みをあらためて強調。リピーターを中心とした潜在需要の強さ、2ウェイの重要性も指摘された。
万博については、日本各地への旅行を波及させるための枠組みの紹介、アドベンチャーツーリズムは地域振興につながるコンテンツ拡充の重要性が共有された。
これらのシンポジウムで語られた内容については、後日詳細をレポートする。
世界70以上の国・地域が集結
今年のTEJは世界70以上の国・地域、日本全国から観光関係者が出展。来場者に直接さまざまなアピールをしたほか、再成長の機会を逃すまいとする業界関係者との積極的な商談がおこなわれた。
「ワーケーション」「ラーケーション」「ドライブツーリズム」「星空ツーリズム」といった話題のテーマによる特集エリアも設置され、沖縄から来たワーケーションの担当者は「チームビルディングなど企業の需要を開拓していきたい」などと話していた。
数多くの体験をアピールした台湾、フレンドリーなスタッフの魅力が光ったサウジアラビアやインドのブース、JTBや日本旅行の宇宙旅行、トラベルテック関連の展示も注目を集めた。数多くの趣向を凝らしたブースでは活発な商談やネットワーキングの様子がみられ、観光産業の再成長にむけた動きが活性化していることを実感できる場となった。
以下に、特徴的だった会場の様子をピックアップして紹介する。
今年もツーリズムEXPOの公式サイトでは、写真ギャラリーを公開。活況の会場の様子を閲覧することができる。