日本とASEAN各国の観光大臣が会合、共同声明の2大柱に「持続可能な観光」と「相互交流」を採択

日本およびASEAN各国観光大臣による「日ASEAN観光大臣特別対話」が2023年10月28日に日本・東京で開催された。これは、日本ASEAN友好協力50周年を記念して実施されたもの。対話では、日本とASEANの共通課題である持続可能な観光のあり方や両地域の相互交流の促進について議論。観光協力の更なる強化やデスティネーションとしての魅力向上を目指す共同声明を採択した。

斉藤鉄夫国土交通大臣は会見で「観光は世界でも最も重要な産業になっている。日本とASEANが率先して相互交流の拡大を進め、世界平和にも貢献していく」と述べた。

また、大臣特別対話の意義について、「2国間の交流を深めて、双方向交流を進めていく信頼のベースができたことが最大の成果」と強調。その成果を踏まえて、「日ASEANの観光協力を進めるとともに、日本が率先して持続可能な観光地になる」と続けた。

このほか、対話では、オーバーツーリズムに対する日本の取り組みとして、近頃決定された「未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」にについて説明したことを明らかにしたうえで、「各国の課題はさまざまだが、交流拡大のなかで、旅行者へのマナー啓発に取り組み、未然にオーバーツーリズムを防いでいくことで合意した。今後、日ASEAN間でベストプラクティスや情報を共有していく」と述べた。

共同声明について説明する斉藤国交大臣共同声明、オーバーツーリズム防止や観光DXの推進など

共同声明の柱は、持続可能な観光の促進と相互交流の促進の2つ。

持続可能な観光の促進については、オーバーツーリズムの未然防止に留意しつつ、日ASEANのユニークな文化や自然の魅力を訴求する革新的なマーケティングを促進していく。

また、地域住民と旅行者双方が観光のメリットを享受できる観光地の確立を目指すとともに、観光関連産業やステークホルダー、地域社会において気候変動を含む環境課題への意識を高めていく。

さらに、観光DXを進め、観光産業の生産性向上、旅行者の利便性向上、観光従事者の待遇改善を進めるほか、データを活用した戦略の策定、観光関連の雇用機会の創出に取り組んでいく。

このほか、観光レジリエンスの強化、ベストプラクティスや研修プログラムなどの共有、政府や民間によるイノベーションや投資を後押ししていく。

相互交流の促進については、本質を深く体験できる観光コンテンツの開発、安心安全な旅行に向けた環境整備、地方部への誘客に取り組みながら、多様な分野において日ASEANの観光交流を拡大していく。

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