エコノミストの調査分析部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、世界の都市の生活費を調査した結果を明らかにした。それによると、世界で最も物価が高い都市はシンガポールとチューリッヒとなった。
この調査は、日常でよく使われる200以上の商品およびサーピスを対象に行われた。今年の物価は平均して前年比7.4%上昇。昨年の8.1%の上昇からは下がったものの、物価の上昇率は2017年~2021年にかけてよりもはるかに高くなっている。
都市別では、チューリッヒが昨年の6位から順位を上げて、シンガポールとともにトップになった。チューリッヒでは、スイスフランの強さに加えて、食料品、家庭用品、娯楽品の価格高が順位を押し上げた。
一方、昨年シンガポールと同率でトップだったニューヨークは3位に順位を下げた。今年のトップ10には、アジアからはシンガポールに加えて香港、欧州からはチューリッヒに加えて、ジュネーブ、パリ、コペンハーゲン、米国からはニューヨークに加えて、ロサンゼルス、サンフランシスコが入った。
アジアは上昇も他地域より上昇率低く
米国では、連邦準備制度による金融政策およびドル安によって、調査対象の22都市の大部分が順位を下げた。
アジアでも物価上昇が続いているが、他の地域と比較するとその上昇率は低く、東京および大阪とともに中国の南京、無錫、大連、北京はランキングを大きく下げた。
また、ロシアのモスクワとサンクトペテルブルクは、西側諸国の経済制裁によって、ルーブル安が続いているため、調査対象都市の中で最も順位を下げた。
世界的に、公共料金(家庭の光熱費と水道料金)のインフレ率は、調査対象となった10カテゴリーの中で最も低くなった。昨年は、最も上昇した分野だったが、今年はロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされたエネルギー価格ショックが緩和された。
一方、最も物価上昇率が高かったのは食料品。製造業者や小売業者が高まるコストを価格に転嫁していることに加え、異常気象が増えていることから供給側のリスクが高まっていることが背景にあると見られる。