トリップアドバイザー(Tripadvisor)は、2024年後半にメタバース体験をリリースする予定だ。ユーザーが実際に旅行に出かける前に、パリ、ニューヨークなど人気の観光地を仮想訪問するというもの。同社マーケティング・ソリューションのグローバル・ディレクターを務めるアダム・オックマン氏は「旅行を予約する前に、誰でも自宅で快適に旅行を体験できる機会を提供していく」と話している。
トリップアドバイザーは、メタバースやAI製品を開発するMeetKai社と契約。MeetKaiは、ラスベガスで開催されたCESで、トリップアドバイザーの計画を明らかにした。
トリップアドバイザーは、詳細についてはまだ明らかにしていないが、旅行会社や企業と連携し、ユーザーが探検できるデジタル空間を構築する。eコマース、ゲーム、ソーシャルコミュニケーションなどの機能も加える可能性があるという。
例えば、パリでは、エッフェル塔や地下墓所(カタコンベ)のデジタルツインを作るという。デジタルツインとは、現実の世界から収集したさまざまなデータを、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現することだ。また、パリの有名なファッション店舗や小売り店舗の再現も検討されている。
オックマン氏は「パートナーと協力すれば、可能性は無限だ」と話す。
MeetKai最高ビジネス責任者のピーター・ジョン・アレクサンダー氏は、長期的なビジョンとして、「メタバースユーザーは、トリップアドバイザーのウェブサイトで提供されている全てのサービスにアクセスできるようになる」と話す。
メタバースは、ウェブベースであるため、モバイルデバイス、デスクトップ、さらにVRヘッドセッドでも利用することが可能。ユーザーは自身のアバターを作成し、デジタル空間に入る。複数のユーザー同士のコミュニケーションも可能だ。
旅行でのメタバースの今後は
旅行関連企業ここ数年、自社ブランドの宣伝ツールとして、さまざまなメタバースを作ってきた。しかし、その取り組みが今後どれだけ定着していくかは不明だ。実際、メタバースの話題は数年前ほど聞かれなくなった。「メタバースは死んだ」と言うテクノロジー専門家さえ出てきた。
一方、MeetKaiのアレクサンダー氏は、「ウェブの未来、2D体験と3D体験との融合を考えれば、メタバースはこれからも存続する」と自信を示す。
トリップアドバイザーは、2022年7月にマット・ゴールドバーグ氏がCEOに就任して以来、将来のプラットフォームを見据え、主力製品の変革をおこなってきた。旅行計画ツールを改良し、収益性とユーザーエンゲージメントを高めるために新しいフォーマットも導入している。
さらに、生成AIを活用した旅程作成ツールもリリース。トリップアドバイザーは、このツールを活用した人からの収益、活用しなかった人に比べて3倍になったことを明らかにしている。
※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(Skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事: Tripadvisor Says It’s Entering the Metaverse: ‘Try Before You Buy’
著者:Justin Dawes氏