フランス西部ヴァンデ県から観光ミッション来日、世界一周ヨットレースを機に日本人旅行者の誘致へ

このほどフランス西部ヴァンデ県から観光ミッションが初来日した。国際的な世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ」を軸に日本人旅行者の誘致を図る。ヴァンデ県では大会が地域の文化に浸透し、国際文化の教育・学習の機会ともなっていることから、まずはレースに出場する選手の出身国をターゲットとして、国際交流を交えた観光誘致と知名度向上につなげていきたい考えだ。第10回大会は、日本人選手が出場、11月10日スタート予定、先立つ大会イベントは10月19日から開催される。

※写真:(左から)ローラ・ル・ゴフ氏(ヴァンデ・グローブ ジェネラルディレクター)、白石康次郎氏(DMG MORI SAILING TEAM)、ギヨーム・ジャン氏(ヴァンデ県議会第一副議長兼ヴァンデ・エクスパンシオン会長)、桐ケ谷覚氏(逗子市長)、松尾崇氏(鎌倉市長)、山梨崇仁氏(葉山町長)、カレン・アレトリュ氏(ヴァンデ県観光局局長)

ヴァンデ県が観光の基軸とするヨットレース「ヴァンデ・グローブ」は、世界のヨットレースの中でも知名度の高い大会。港町レ・サーブル・ドロンヌを起点/終点に、南半球の喜望峰、ルーウィン岬、ホーン岬を単独・無寄港・無支援で航行する。1989年以来4年ごとに開催されており、2020年大会は190か国がテレビ中継を行い、大会動画は1億1500万回再生された。人口1万5000人のレ・サーブル・ドロンヌには大会開催の約1か月前から始まるイベント期間に、世界各地からのべ約250万人の観光客が訪れる。

この国際イベントを軸に観光客誘致を図りたいヴァンデ県は、その戦略としてまずは大会出場選手の出場国をターゲット市場としてプロモーションを行う。日本は白石康次郎選手(海洋冒険家、DMG MORI SAILING TEAM)が2016年、2020年大会に出場しており地元では有名人であること、また「食や文化など、質の高さを理解してくれる市場」(ヴァンデ県議会第一副議長兼ヴァンデ・エクスパンシオン会長のギヨーム・ジャン氏)であることから、PRすべき市場のひとつに選定された。

ジャン氏は「町の学校では大会出場選手を通じて世界の文化にふれており、大会は教育やおもてなしの精神を養う機会となっている」と交流を含む受け入れ素地があることを強調。そのうえで、現在、大会時に300人ほど訪れる日本人客を恒常的な訪問につなげたい考えだ。

ギヨーム・ジャン氏(ヴァンデ県議会第一副議長兼ヴァンデ・エクスパンシオン会長)

「美食の地」をアピール

ヴァンデ県観光局局長のカレン・アレトリュ氏によると、同県を訪れる観光客はフランス人がほとんどで、外国人観光客は全体の約2割。その大半が近隣欧州諸国からだが、6700平方キロ(日本の高知県と同等)の県内にミシュラン星付きレストラン9軒が名を連ねる美食の地でもあることから、城や離島に滞在し食や自然を楽しむ北米グループも少なくない。

さらに、県内の歴史テーマパーク「ピュイ・ド・フー」はスペクタクルのクオリティが高いとして、家族連れなどに提案できる素材。県ではヴァンデ・グローブを通した観光客誘致も交えながら、「クチコミによる知名度向上にも期待したい」としている(ジャン氏)。

 カレン・アレトリュ氏(ヴァンデ県観光局局長)

また、ヴァンデ県観光局は旅行会社のライセンスを取得していることから「要望に応じた素材の提案・手配は迅速に行える」とアレトリュ氏。フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏は「素材の質は良くポテンシャルが高い。フランスの新たな観光素材として大いに期待できる」と話している。

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