米国運輸保安局(TSA)は、ラスベガス・ハリー・リード国際空港で、セルフスクリーニング保安検査の実証を始めた。今後、他の空港でも試験運用を始める計画だ。
これは、搭乗者自身と機内持ち込み手荷物の検査を自ら行うもの。TSA職員の指示を受けることはほとんどない。現在のことろ、事前検査プログラム「TSA PreCheck」登録者のみが対象で、利用案内も英語のみ。
手荷物検査システムは、従来の灰色のトレイを流すベルトコンベアーではなく、病院のMRI装置のような形状。トレイは自動的に紫外線で消毒される。
一方、搭乗者は透明なガラス製のブースに入る。内部にはビデオディスプレイが設置されてある。中に入ると、全国の空港で使用されている保安検査機で行う同じ立ち方をする。係員と直接やりとりする必要はなく、自分のペースでシステムを通ることができる。
TSA広報によると、現在のところ、保安検査の通過時間は、有料のPreCheckで全国平均で10分程度、それ以外では約30分かかっているという。
この新しいシステムに必要な係員は、2レーンで8人。現在の12人よりも減ることになる。これについて、ネバダ州のTSA局長のカレン・バーク氏は「保安検査での人員は減るが、より広範な安全上の懸念に対処することができる。誰も職を失うことはない」と話している。
ただ、検査機を設置する会社K2セキュリティ・スクリーニング副社長のキース・ジェフリーズ氏は「素晴らしいシステムだが、最初は旅慣れた乗客だけが使うことになるだろう」と話す。現在全国のスーパーマーケットで導入されているセルフレジを例に出し、最初は商品を自分でスキャンすることを避ける人も多かったと振り返った。
2023年のラスベガス・ハリー・リード国際空港の搭乗者数は約5760万人で過去最多を記録した。今年2月11日にラスベガスのアレジアント・スタジアムで開催された第58回スーパーボウルの翌日に保安検査場を通過した人は約10万4000人となり、同空港にとってこれまでで最も忙しい日となった。
※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。