中国では近年、若い女性の旅行者が増加しており、彼女たちが中国旅行市場の回復を牽引している。チャイナ・トレーディング・デスクが行った最新の旅行意識調査では、海外旅行者の62%が女性。このうち40%近くが18歳~24歳で、27%近くが24歳~29歳だった。この旅行動態の変化は、企業のマーケティング戦略や販売戦略にも大きな影響を与えるものになるだろう。
中国文化観光省によると、2024年の旧正月(2月10日~17日)の期間の海外旅行者は約360万人だった。5月1日から始まる労働節の5連休、そして夏休みシーズンには、さらに増えると予想されている。ドラゴン・トレイルの調査では、中国からのアウトバウンド旅行者は2024年末にはパンデミック前の80%まで回復する予想している。
現在のところ、中国人に最も人気のある旅先はシンガポール。2024年第1四半期では約72万4000人の中国人が入国した。これは、相互ビザ免除措置の影響が大きい。
ひとり旅の女性が増加、体験とともにショッピングも重視
チャイナ・トレーディング・デスク創設者兼最高経営責任者のサブラマニア・バット氏によると、中国では文化的に豊かな体験を求めるデジタルに精通した旅行者という新たな層が現れ、その層は主に高い教育を受けた女性で、その多くが一人旅を好んでいるという。
バット氏は「彼女たちは、個人旅行、自然体験、文化体験に強い関心を示している」と明かしたうえで、旅行会社や受け入れ側は、安全、健康、サポートサービスなどで、こうした旅行者に適切に対応する必要性があると強調する。
そして、航空券、食事と並んで買い物が海外旅行の消費項目のトップ5に入っており、旅行者の4分の1以上が、航空券を購入する前に現地のショッピングについて調べていると回答。その割合は18~29歳では70%弱に達している。
旅行計画から決済まで、すべてデジタル
中国人旅行者は、デジタル プラットフォームを多用する。調査によると、デジタルリテラシーの度合いによって、旅行への自発性や柔軟性が異なるという。
彼らは、シートリップやQunarなどの旅行アプリ、小紅書(中国版インスタグラム)などのSNSをうまく利用して情報を入手し旅行の計画を立て、旅行予約もおこなう。
また、ホテル選びに大きな影響を与えるのは友人からのオススメ。次にデジタル広告。ホスピタリティ産業では、SNSでのターゲットを絞ったマーケティングがますます重要になっている。
さらに、ショッピングでは、アリペイ(Alipay)やウィチャットペイ(WeChat Pay)などデジタルウォレットやモバイル決済が重要なツールになっている。特に18歳~29歳の旅行者ではその傾向が顕著だ。
※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(Skift)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:China’s Outbound Tourism is Changing, Female Travelers Are Leading the Way
著者:Peden Doma Bhutia氏