第一生命経済研究所が発表した2013年夏のボーナス予測によると、民間企業のボーナス支給額は前年比0.7%増の36万1000円になり、2010年夏以来6季ぶりに増加に転じる見込みだ。その背景として、昨年末以降の景気回復や円安効果により企業収益が持ち直し、企業の景況感が改善しているためとしている。
しかし、ボーナス増加率は小幅にとどまる予測。その理由として、増加は大企業中心で、内需に依存する度合いが大きい中小企業では目立った改善が期待できないためとしている。また、大企業のなかでも業種によって偏りが見られる。業績悪化が続く電機ではボーナス削減で妥協する企業も多く見られ、増額が目立った流通業でも雇用者の多くがボーナス支給の対象にならない非正規社員であるため、経済全体への寄与は大きくないと見ている。
所定内給与の改善が見られない点が懸念材料とするものの、今冬のボーナスでは年度前半の企業収益回復を反映する形で増加率が高まることを予想。賃金にも徐々に回復感が出てくると見込む。
一方、所得の改善が鈍いなか、足元の個人消費が好調に推移している点を評価。年明け以降の個人消費は予想を上回る増加を見せ、1-3月期の個人消費(GDPベース)は、前年比で高い伸びになる可能性が高いとしている。その大きな要因は消費マインドの改善。景気が回復に転じたことで、消費者が先行きに明るい展望を持てるようになったためと説明している。
なお、今夏の国家公務員のボーナスは前年比2.0%増を予測するも、これは平均年齢の上昇による支給額の増加であり、個人の支給額はほぼ前年並みになる見込み。地方公務員についても概ね前年並みを予想する。