老舗旅館業の龍名館は、訪日観光客をターゲットとした小規模の高級ホテル「ホテル龍名館お茶の水本店」を2014年8月1日に開業する。龍名館本店ビル1~2階に位置する創業116年目の「旅館龍名館本店」を改修して開業するもので、客室は全9室。部屋の広さを一室約50平米以上とゆったり確保し、全客室を、畳や障子、陶器の浴槽など日本の様式を組み入れた外国人好みの和洋室タイプにすることで訪日外国人の需要にこたえる。
また、海外から早朝に到着するフライトに合わせてチェックイン前に利用できるシャワールームと図書スペースを設置。日本文化などについても英語でガイドできるようにスタッフを育成し、丸の内・秋葉原・浅草・銀座など訪日外国人観光客に人気の観光地に近い好立地を生かして、宿泊客のほぼ100%を訪日観光客とする、小型ながらインターナショナルなホテルを目指すという。
同社は2009年東京駅前に「ホテル龍名館東京」を開業しており、客室135室の同ホテルは、宿泊稼働率は約95%、売上の海外宿泊客比率を約40%まで高めている。海外でのウェブ展開や宿泊マニュアルづくり、人材育成など、ここで培ったノウハウを新ホテルにも生かしていく。
旅館龍名館本店は竹久夢二や伊東深水ら画家をはじめ小説家や芸術家など多くの文化人に愛されてきた老舗。「旅館龍名館本店」の営業は3月末までとし、4月上旬から新ホテルの着工、総工費5億円を投じて改装する。また同社は創業130周年となる2029年を目途に、新ホテルの入る龍名館本店ビル自体を100室規模のホテルに建て替えることも計画中だ。