トリッピースCEO・石田言行氏のインタビュー最終回は、石田氏自身にフォーカス。新たな旅行サービスを作り出した原点に触れた。
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「情熱家といわれますが、冷静な部分があるとも思う」
―非常に面白いなと思うのですが、trippieceとグーグルで検索すると、出てくる候補の中に「ビジネスモデル」があります。みんな知りたいんですよね。
石田氏: 僕は何も隠してはいませんよ。基本的にどのメディアでもお話ししていますし、そこに価値を出さないと思っているのですけれども。
―しかし皆さんは、すごく興味を持っていらっしゃる。私は40代ですが、このくらいから見ると石田さんは「若者」なんですよ。新しい世代が全く新しい旅行に関するビジネスモデルを持ってきて、しかもそれがあたっている。それが生まれた原点ってなんだろうって思うのでしょうね。石田さんはご自身のことをどういう風に思っていますか。
石田氏: えーと、それは性格的な意味ですか?
―そうですね。パーソナリティー的なところですね。どうですか、例えば会社の人にはどう呼ばれていますか?
石田氏: そうですね、「いあん氏」ですね。みんな適当に呼んでいますよ。旅行中の時は敬語を禁止にしているので「いしだ!」って呼び捨てですし、「いあん」って呼ぶ人もいますし。「社長」もいますよ。でも、「社長(笑)」という、あまり敬意が感じられない感じです(笑)。僕は自分をそんなに評価していないんですね。比較しないと自分自身のことがわからないと思うのですが、周りの企業家の方と比べると頭が良い方ではないです。コミュニケーション能力も長けている方ではありません。ただ、冷静で分析できて、かつ、最低限のコミュニケーションはこなせるのでどうすればよいかはわかっている、というのはありますね。
「情熱家」といわれるのですが、自分の中では冷静な部分があると思っています。ビジョンを語るのでビジョナリーとも言われますが、自分の中ではそうなのかなと思います。
「ゼロから一を作るのが自分の仕事。使命を達したい」
―小学校の時はどんな子どもでしたか?
石田氏: 普通だったと思っていますよ、自分では。でも結局、名前は人と違うし、父親の教育方針も「好きなことやれ」と放任主義。ですからやっぱり、自分の好きなことを自分の責任ですることに喜びを感じますよね。だから小学校と中学校は息苦しかったところがある。今思うともっと好き勝手したかったな(笑)。
―それで今、好き勝手をしているのですか(笑)?
石田氏: (笑)。わりと好き勝手していますよ。でも、社員への責任もあるので、そこは果たそうとしています。まあ、ちゃんと仕事はしていますよね。そういう意味では好き勝手しきっていない、フィフティフィフティくらいでしょうか。
―たくさんのメディアに出て、インタビューの原稿も拝見していますが、このなかで一つ、「小さい頃からゼロから作り出すのが好きだった」というコメントが印象的でした。
石田氏: 親父が言っていたことですね。久しぶりに会った時に親父の知り合いもいて、「なんでこんな大人に育ったのか」という話になって、親父が「ゼロから一を作ったのは俺のおかげだ」なんて言って、ちょっとうざかったんですが(笑)。
親父は出版社で編集の仕事をしていて、自分の本を作ることを「ゼロから一を作る」と言っています。祖父も企業家だったので、「ゼロから一を作る」ことを言っていたと聞きました。僕は全く覚えていないのですが、そんな気がしなくもない。なんだかんだで小さい頃からそういう話を聞いていて、どこかに引っかかっていたんでしょうね。
“ゼロイチ”って、すごく大変なんですよ。時間がかかるし、労力も必要だし。でも、すっごく楽しいですよね。自分が作ったって自負できるから、やっぱりやりがいを感じます。1から100にしても自分が作ったとは言えないんですよ。
ゼロから一を作るというのは自分の仕事だと思っています。ですから使命を達したいと思うと、もう一社くらい挑戦したいですね。
「起業家というのはもっと強いリスク、興奮を求めてしまう」
―創業からここまでで、ものすごくエキサイティングな瞬間って覚えていますか?
石田氏: ユーザーが喜んでくれる瞬間が常にエキサイティングです。ただ最初の1年半くらいはずっとつらかった時期でしたから、そこから変わり始めた頃がすごくうれしかった。エキサイティングというか、ものすごくうれしかったです。
起業家というのはジャンキーなところがあって、もっと強いリスク、興奮を求めてしまう。最近は無難に成長してしまっているので、ちょっと物足りなさがあるというか・・・。
―もうちょっと何か起きないかな、なんていうことを考えてしまう?
石田氏: いえいえ。悪い意味ではなくていい意味で(笑)。何か仕掛けたいなと。そういう意味では「ガイアの夜明け」で取り上げていただいたのは良かったですね。おかげさまでものすごい反響がありました。
僕らのビジネスモデルはユーザーも、地域も、旅行会社もハッピーになるし、誰も損をしないので、みんなが喜んでくれることでサービスを作っていて、一番うれしいことですね。
―ありがとうございました。
聞き手:トラベルボイス編集部 山岡薫
記事:山田紀子